第7章 2025 年と 2040 年へ(2014 年〜)
団塊の世代がすべて 75 歳以上になる 2025 年に向けて、国は病院の機能の分化と、地域で医療と介護を支える仕組みづくりを進めてきました。
いま国が見すえているのは、85 歳以上の人が増え、働く世代が減る 2040 年です。
この章では、その理由として国の資料が挙げた数字を見ます。
この時代の数字(2025 年)
- 75 歳以上2,117万人人口の 17.2%
- 85 歳以上683万人人口の 5.6%
- 出生数67.1万人合計特殊出生率 1.14
- 病院の平均在院日数25.1日全病床
図の高さは、数字ごとに最も大きい値を上にそろえた。
75 歳以上と 85 歳以上は令和 7 年国勢調査、出生数は人口動態統計(確定数)、平均在院日数は令和 7 年 病院報告
2025 年に向けて、病床機能報告と地域医療構想
社会保障制度改革国民会議の報告書(2013 年 8 月)は、医療の形が変わる理由を、患者の年齢で説明しています。
平均寿命 60 歳代の社会で、主に青壮年期の患者を対象とした医療は、救命・延命、治癒、社会復帰を前提とした「病院完結型」の医療であった。しかしながら、平均寿命が男性でも 80 歳近くとなり、女性では 86 歳を超えている社会では、慢性疾患による受療が多い、複数の疾病を抱えるなどの特徴を持つ老齢期の患者が中心となる。
社会保障制度改革国民会議 報告書 印字 21 頁(国立国会図書館 WARP)
報告書は、病床の機能の分化と連携、地域包括ケアシステムの構築を、「団塊の世代のすべてが 75 歳以上となる 2025(平成 37)年に向けて速やかに取り組むべき課題」とし、その最初の取り組みとして病床機能報告制度を「早急に導入する必要がある」と書きました。
2014 年の医療介護総合確保推進法で、病床機能報告は 2014 年 10 月から、地域医療構想は 2015 年 4 月から始まりました(厚生労働省PDF)。
今の医療機関機能・病床機能報告と地域医療構想の仕組みは、病院と行政の役割分担講座の第 3 章と第 5 章で解説しています。
75 歳以上は 2,117 万人に
実績は国勢調査(外国人を含む総人口。各年 10 月 1 日)。
推計は日本の将来推計人口(令和 5 年推計。出生中位、死亡中位)。
75 歳以上と 85 歳以上の推計は 5 歳階級の表を合計した値。
実績と推計で 2025 年の値が少し違う。
出典: 令和 7 年国勢調査 人口等基本集計 結果の概要 表Ⅱ-1-1(総務省統計局PDF)、日本の将来推計人口(令和 5 年推計)(国立社会保障・人口問題研究所)
2025 年 10 月 1 日の国勢調査で、75 歳以上は 21,169,152 人、人口の 17.2% でした。
高齢社会白書(人口推計)では、高齢化率は 29.4%、75 歳以上は 17.3% です。
2040 年は、85 歳以上と生産年齢人口
新たな地域医療構想等に関する検討会のとりまとめ(2024 年 12 月)は、2040 年を次のように見ています。
人口については、全国的に、生産年齢人口を中心に減少するが、85 歳以上を中心に高齢者数は 2040 年頃のピークまで増加すると見込まれる。
85 歳以上人口の増加に伴い、2020 年と比較して、85 歳以上の高齢者の救急搬送は 75%増加し、85 歳以上の在宅医療の需要は 62%増加することが見込まれる。
新たな地域医療構想に関するとりまとめ 2024 年 12 月 18 日 印字 2 頁(厚生労働省PDF)
とりまとめは、「さらなる生産年齢人口の減少に伴い、医療従事者確保の制約が増す中で」、働き方改革による労働環境の改善や医療 DX などが重要になるとも書いています。
医師の時間外労働の上限は 2024 年 4 月から始まっていました。
2019 年の検討会の報告書は、その理由を「我が国の医療は、医師の自己犠牲的な長時間労働により支えられており、危機的な状況にある」と書いています(厚生労働省PDF)。
2025 年 12 月には、改正医療法が公布されました(厚生労働省PDF)。
地域医療構想は、2027 年 4 月から、病床だけでなく外来、在宅医療、介護との連携を含む構想に変わります。
改正の中身と施行の時期は、病院と行政の役割分担講座の第 6 章で解説しています。
出生数は 67 万人
日本における日本人。
1972 年以前は沖縄県を含まない。
2005 年に死亡数が出生数を初めて上回った。
出典: 令和 7 年 人口動態統計(確定数)第 2 表(厚生労働省)
2025 年の出生数は 671,270 人で、人口動態統計の結果の概要は「明治 32(1899)年の人口動態調査開始以来最少」と書いています。
合計特殊出生率は 1.14 でした。
死亡数は 1,589,533 人で、2005 年からは死亡数が出生数を上回っています。
こども未来戦略(2023 年 12 月 閣議決定)は、「少子化は、我が国が直面する、最大の危機である。」と書き、子ども・子育て支援金の制度を 2026 年度から段階的に作るとしました(内閣官房PDF)。
被用者保険では、2026 年 4 月分の保険料から、支援金を保険料とあわせて納めています(こども家庭庁)。
支援金の仕組みは、医療費の見える化講座の用語集「子ども・子育て支援金」で解説しています。
自院の地域で確かめること
全国の数字と、自院の地域の数字は同じではありません。
人口の減り方や高齢化の進み方は、地域によって違います。
- 自院のある市区町村の人口と、65 歳以上、75 歳以上の割合の推移(病院ドックの診断ページの「地域の人口と医療需給」)。
- 自院のある二次医療圏で、病院と病床の数がどう変わってきたか(地域のページ)。
- 自院の都道府県の地域医療構想で、自院の構想区域の 2040 年の見通しがどう書かれているか(都道府県のサイト)。
この章の一次資料
- 社会保障制度改革国民会議 報告書 2013 年 8 月 6 日(国立国会図書館 WARP)
- 医療介護総合確保推進法に関する全国会議 資料 2014 年 7 月 28 日(厚生労働省PDF)
- 新たな地域医療構想に関するとりまとめ 2024 年 12 月 18 日(厚生労働省PDF)
- 医師の働き方改革に関する検討会 報告書 2019 年 3 月 28 日(厚生労働省PDF)
- 医療法等の一部を改正する法律(令和 7 年法律第 87 号)の概要(厚生労働省PDF)
- 令和 7 年国勢調査 人口等基本集計 結果の概要(総務省統計局PDF)
- 日本の将来推計人口(令和 5 年推計)(国立社会保障・人口問題研究所)
- 令和 7 年 人口動態統計(確定数)の概況(厚生労働省)
- こども未来戦略 2023 年 12 月 22 日 閣議決定(内閣官房PDF)、子ども・子育て支援金制度について(こども家庭庁)
制度や数値は掲載時点の情報です。最新の内容は所管の原文でご確認ください。 時代の区分は平成 19 年版厚生労働白書に従い、2000 年より後は改正の年で区切りました。数字は国の統計の公表値で、統計ごとに対象と時点が違います(各図の注を参照)。 内容の誤りは訂正受付窓口からお知らせください。