用語集 — 講座に出る言葉
医療費の見える化講座に出る言葉を、5 つの区分で並べました。
各語に、出てくる章を付けています。
五十音順ではなく、医療費の数字、保険の財布、税金と国の予算、助成と支え合い、請求と支払いの組織の順です。
医療費の数字
いくらかかり、どう数えるか
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国民医療費
1 年間に、病院や診療所、薬局で病気やけがの治療にかかった費用の合計。
令和 5 年度は 48.1 兆円。
生活保護などの税金で払う医療も含む。
この講座の「医療費 100 円」の図は、国民医療費の財源を 100 円あたりに直したもの。 -
医療保険の医療費
国民医療費のうち、医療保険で払う分。
令和 5 年度は 45.0 兆円。
生活保護の医療(1.8 兆円)のように、税金で払う医療は入らない。
厚生労働省の「医療費の見える化」と、第 5 章、第 7 章の数字はこちら。 -
医療費の見える化
厚生労働省が、医療保険のお金の流れをまとめたページ「医療費の見える化について」。
窓口で払う割合を約 15%、保険料を約 53%、税金を約 32% としている。
この講座の 12 円、50 円、38 円と違うのは、医療保険の医療費だけを数え、国や自治体が窓口の分を代わりに払ったお金も窓口に入れているため。 -
給付費
医療費のうち、保険が払った分。
窓口で払う分を除いたもの。
法律で決まった税金の割合(協会けんぽは 16.4%、市町村の国民健康保険は 50% など)は、この給付費に対して掛けられる。 -
実効給付率
医療費のうち、保険(保険料と税金)が払った割合。
令和 5 年度は 85.4% で、平成 13 年度の 84.2% から上がった。
窓口の負担が軽い 75 歳以上の人が増えると、この割合は上がる。 -
医療経済実態調査
病院や診療所の収入と費用を、国が調べる調査。
診療報酬を決めるときの材料になる。
第 25 回では、一般病院 732 の平均で、収入 100 円のうち人件費が 56 円、費用の合計が 107 円だった。
保険の財布
保険料を集めて医療費を払う仕組み
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国民皆保険
すべての人が、どれかの医療保険に入る仕組み。
医療保険は保険料で成り立つのが基本だが、国は、皆保険を保つために税金(公費)を入れていると説明している。
会社を辞めて収入が下がり、医療費が増える年齢になると、多くの人が国民健康保険に移るためだ。 -
保険者
保険料を集めて、医療費を払う組織。
市町村の国民健康保険、健康保険組合、国民健康保険組合、共済組合、広域連合、協会けんぽを合わせて約 3,400 団体ある。
自分の保険者は、資格確認書の券面の保険者名や、マイナポータルで分かる。 -
被用者保険
会社や役所で働く人と、その家族が入る保険。
協会けんぽ、健康保険組合、共済組合がこれにあたる。
保険料は本人と勤め先で半分ずつ払う。
勤め先を辞めると、多くの人は市町村の国民健康保険に移る。 -
協会けんぽ(全国健康保険協会)
主に中小企業で働く人とその家族が入る保険者で、加入者は 3,960 万人。
保険が払った医療費(給付費)の 16.4% に国の税金が入る。
保険料は日本年金機構が集めている。
支出の約 4 割を、高齢者の医療のために出している。 -
健康保険組合
主に大企業が自分たちでつくる保険者で、1,378 あり、加入者は 2,810 万人。
税金はほとんど入らない。
支出 8.0 兆円のうち約 5 割(3.8 兆円)を、高齢者の医療のために出している。
会社が保険料を多めに払うところもある。 -
共済組合
公務員と私立学校の教職員とその家族が入る保険者。
85 あり、加入者は 980 万人。
税金はほとんど入らないが、公務員の共済組合の事務の費用は、法律で国と自治体が払う。 -
市町村の国民健康保険(国保)
自営業の人、会社を辞めた人、74 歳までの年金暮らしの人などが入る保険。
1,716 の市町村が運営し、加入者は 2,370 万人。
保険が払った医療費の 50%(国が 41%、都道府県が 9%)に税金が入る。
2018 年度からは、都道府県が財布を預かっている。 -
国民健康保険組合
医師や建設業など、同じ仕事の人たちがつくる国民健康保険。
158 あり、加入者は約 250 万人。
講座の「保険料が入る 5 つの財布」とは別に数えている。 -
後期高齢者医療制度
75 歳以上のすべての人が入る保険で、加入者は 1,950 万人。
75 歳以上の医療費 100 円のうち、本人が払うのは窓口と保険料を合わせて 16 円。
38 円は若い世代の保険からの支援金、46 円は税金で賄う。
運営するのは都道府県ごとの広域連合。 -
広域連合(後期高齢者医療広域連合)
後期高齢者医療制度を運営するために、都道府県ごとに、その中のすべての市町村が集まってつくる組織。
全国に 47 ある。
事務の費用は市町村が出している(596 億円)。 -
標準報酬月額
健康保険料を計算するために、毎月の給料を区切りのよい額に当てはめたもの。
保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛けて決まる。
協会けんぽで標準報酬月額が 30 万円の人なら、本人の保険料は月 1 万 4,850 円。
税金と国の予算
税金が入る理由と、国のお金の扱い
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公費
国と都道府県と市町村が、税金から出すお金。
国の資料では、医療保険に入れる税金をこう呼ぶ。
医療費 100 円のうち 38 円が公費で、そのうち 25 円は国、13 円は都道府県と市町村の分。 -
一般会計(当初予算)
一般会計は国の基本の財布で、当初予算は年度の初めに決まる 1 年分の予算。
令和 8 年度の一般会計の当初予算は 122.3 兆円。
100 円のうち社会保障に 32 円、医療保険に 9 円を使い、24 円を国債(国の借金)で賄っている。 -
地方単独事業
国の制度ではなく、都道府県や市区町村が自分で決め、自分の財源で行う事業。
子どもの医療費の助成はこれにあたり、国の補助金は無い。
令和 6 年度に都道府県と市区町村が子どもの医療費の助成に使ったお金は、合わせて約 4,500 億円。 -
減額調整措置
子どもの医療費の助成をしている市区町村の国民健康保険に対して、国が出すお金を減らしていた扱い。
窓口の負担が減ると受診が増える、という理由だった。
小学校に入る前の子どもの分は 2018 年度に、18 歳の年度末までの分は 2024 年度になくなった。
助成と支え合い
窓口の負担を軽くする制度と、世代の間のお金
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高額療養費制度
1 か月に窓口で払う額に、上限を設ける制度。
上限の額は年齢と所得で違う。
大きな手術や長い入院でも、上限を超えた分は保険が払う。
窓口で 3 割を払う人がいても、全体で見た窓口の負担が 100 円のうち 12 円になる理由の 1 つ。 -
子どもの医療費の助成
子どもが窓口で払うはずの 2 割(小学生からは 3 割)を、市区町村と都道府県が代わりに払う制度。
市区町村が条例で独自に決めるので、何歳までか、親の所得で制限するか、1 回数百円の負担を残すかが違う。
国の補助金は無い。
令和 7 年 4 月 1 日現在、全国の 1,741 市区町村すべてが行っている。 -
支援金(後期高齢者支援金)
75 歳以上の人の医療のために、74 歳までの人が入る保険(協会けんぽ、健康保険組合、市町村の国民健康保険など)が出すお金。
令和 5 年度は 7.1 兆円で、75 歳以上の医療費 100 円のうち 38 円にあたる。
若い世代の保険料の一部が、ここに回っている。 -
前期調整額
65 歳から 74 歳の人が保険ごとに偏らないように、保険の間でやり取りするお金。
この年齢の人は市町村の国民健康保険に多いので、会社で働く人の保険から国民健康保険へお金が回る。
協会けんぽや健康保険組合が支出の 4 割から 5 割を高齢者の医療に出しているのは、75 歳以上への支援金に加えて、このお金があるため。 -
子ども・子育て支援金
2026 年 4 月分から、医療保険の保険料と一緒に集められているお金。
加入者 1 人あたり平均で月約 250 円、2026 年度の総額は約 6,000 億円。
医療には使われず、子育ての支援に使われる。
請求と支払いの組織
請求書の流れと、仕組みづくりの費用
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レセプト
病院や薬局が、患者ごとに 1 か月分の診療をまとめて保険者に出す請求書。
DX審査支払機構(旧 支払基金)と国保連合会を合わせて年に 20 億件を超え、ほぼすべて(99.8%)が電子で届く。
審査支払機関が中身を点検したうえで、保険者が医療費を払う。 -
審査支払機関
レセプトの中身が正しいかを点検し、保険者から受け取った医療費を病院に払う組織。
主に会社で働く人の保険を扱う DX審査支払機構(旧 支払基金)と、国民健康保険と 75 歳以上の医療を扱う国保連合会がある。
まずコンピュータと AI が点検し、人が目で見るのは約 1 割。 -
支払基金(社会保険診療報酬支払基金)
審査支払機関の 1 つで、主に会社で働く人の保険のレセプトを、年に 13 億件点検してきた(2025 年度)。
2026 年 10 月 1 日に「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」に変わった。 -
医療情報基盤・診療報酬審査支払機構(DX審査支払機構)
2026 年 10 月 1 日に、支払基金が改まってできた組織。
レセプトの審査と支払いを引き継ぎ、マイナ保険証や電子カルテの仕組みの中心も担う。
点検の手数料は 1 件平均 45.50 円(2026 年度)で、保険者が払う。 -
国保連合会(国民健康保険団体連合会)
都道府県ごとにある審査支払機関。
市町村の国民健康保険と 75 歳以上の医療のレセプトを、年に約 10 億件扱う。
全国の国保連合会がつくる組織が、国保中央会。 -
医療情報化支援基金
病院や薬局に、マイナ保険証で保険の資格を確かめる仕組みを入れるため、国が税金で設けた基金。
国は 1,428 億円を出し、うち 1,280 億円を使った。
電子処方箋や電子カルテの分も合わせると 2,264 億円になる。
病院ドック編集部が、講座で使った国の資料の言葉を言い換えたものです。
数字は講座の本文と同じ年度のものです。
正確な定義は各資料を参照してください。
医療制度の基礎知識(コラム)
病院の運営にかかわる制度と行政の仕組みを、要点をしぼって解説します。