第1章 制度を動かしてきた 6 つの数字

執筆者/監修

病院ドック編集部

病院ドック運営(株式会社ウェブリク)

病院ドックを運営する株式会社ウェブリクの編集部が、病院の運営にかかわる制度と行政の仕組みを、公的資料をもとに要点をしぼって解説します。

一般の方の目線で医療を分かりやすく伝えることを目指しています。

制度が変わるとき、国の資料はその理由を数字で説明してきました。
この章では、この講座で追う 6 つの数字と、それがどの統計で分かるかを見ます。
あわせて、厚生労働白書が戦後の歩みをどう区切っているかを確かめます。

6 つの数字

この講座では、次の 6 つの数字を追います。

  • 高齢化率人口に占める 65 歳以上の人の割合。
    1970 年に 7% を、1994 年に 14% を超えた。
  • 死因何で亡くなる人が多いか。
    1950 年は結核が第 1 位、1981 年からは悪性新生物(がん)が第 1 位。
  • 出生数1 年に生まれた子どもの数。
    1949 年が最も多く、2025 年は統計を取り始めてから最も少ない。
図 1-1(1)高齢化率、死因、出生数の歩み
第 2 章第 3 章第 4 章第 5 章第 6 章第 7 章19611973198520002014019501960197019801990200020102020203020401970 年 7.1%2025 年 29.4%1950 年 146.41949 年 269.7 万人1973 年 209.2 万人高齢化率2040 年 34.8%(推計)死因(悪性新生物)2025 年 317.3人口 10 万対の死亡率出生数2025 年 67.1 万人死因(結核)2025 年 1.2人口 10 万対の死亡率

高さは、数字ごとに最も大きい値を上にそろえた。2025 年の死亡率は概数。
出典: 令和 7 年国勢調査 人口等基本集計 結果の概要(総務省統計局PDF)、令和 7 年 人口動態統計(確定数)の概況、統計表(厚生労働省)

  • 国民医療費1 年間に病気やけがの治療にかかった費用。
    1965 年度に 1 兆円、2013 年度に 40 兆円を超えた。
  • 高齢者の医療費の割合老人医療費(2008 年度からは後期高齢者医療費)が国民医療費に占める割合。
  • 病院の病床数病院の病床の数。
    1992 年が最も多く、そのあと減っている。
図 1-1(2)国民医療費、高齢者の医療費の割合、病院の病床数の歩み
第 2 章第 3 章第 4 章第 5 章第 6 章第 7 章19611973198520002014019501960197019801990200020102020203020401954 年 0.2 兆円2000 年 30.1 兆円1973 年 10.9%1975 年 116.4 万床1992 年 168.7 万床国民医療費2023 年 48.1 兆円高齢者の医療費の割合2023 年 39.1%病院の病床数2025 年 145.0 万床

高さは、数字ごとに最も大きい値を上にそろえた。高齢者の医療費の割合は、対象の年齢が変わった年で線を切っている。
出典: 令和 5 年度 国民医療費(厚生労働省)、後期高齢者医療事業年報(e-Stat)、令和 7 年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況(厚生労働省)

6 つの数字の動きと、それぞれの数字を国が理由に挙げた制度の節目は、道具の制度と数字の年表で 1 枚にまとめています。

数字には、対象と時点がある

数字を読むときに対象、時点、定義対象日本人だけか、外国人も含むか時点10 月 1 日か、1 年か、年度か定義区分や数え方が変わることがある

同じ「2025 年の人口」でも、統計によって値が少し違います。
令和 7 年国勢調査の総人口は 122,972,528 人です。
高齢社会白書が使う人口推計では、1 億 2,322 万人です。
人口推計は令和 2 年の国勢調査をもとにした値で、令和 7 年国勢調査の結果で直される予定です(人口推計の注)。
この講座の図は国勢調査の値でそろえ、本文で白書の数字を引くときは「人口推計」と書きます。

数え方が途中で変わった数字もあります。
病床の区分は 1992 年と 2000 年の医療法の改正で変わり、死因の分類は 1995 年と 2017 年に国際的な分類の改訂に合わせて変わりました。
国民医療費は、2000 年度から介護保険に移った費用を含みません。
図の注には、こうした違いを書いています。

白書は、歩みを 3 つの時代に分けている

平成 19 年版の厚生労働白書は、戦後の医療の歩みを、医療提供体制と医療保険のそれぞれについて 3 つの時代に分けています。

図 1-2 白書の 2 つの区分と、この講座の章
195019601970198019902000201020202030医療提供体制医療基盤の整備と量的拡充病床規制機能分化と患者の視点医療保険皆保険の確立給付の拡充給付と負担の見直し← 1922 年からこの講座第 2 章第 3 章第 4 章第 5 章第 6 章第 7 章2000 年より後は、介護保険の開始(2000 年)と医療介護総合確保推進法(2014 年)で区切った

白書の年は、いずれも「おおむね」。
出典: 平成 19 年版 厚生労働白書 第 1 部 第 1 章 印字 4 頁、14 頁(厚生労働省PDF)

医療提供体制の時代は「①医療基盤の整備と量的拡充の時代(おおむね1945(昭和20)年から1985(昭和60)年まで)」から始まり、医療保険の時代は「①国民皆保険制度確立の時代(おおむね1922(大正11)年から1961(昭和36)年まで)」から始まります。
この講座の第 2 章から第 5 章は、この 2 つの区分の境の年(1961 年、1973 年、1985 年)で区切りました。
白書は 2007 年に書かれたものなので、2000 年より後は、介護保険の開始(2000 年)と医療介護総合確保推進法(2014 年)で区切っています。

この講座の読み方

その時代の数字統計の公表値国の資料が挙げた理由白書などの原文作られた制度そのあとの数字

各章は、その時代の数字、国の資料が挙げた理由、作られた制度、そのあとの数字の順に書いています。
「理由」と書くのは、制度を決めたときに国の資料が挙げた数字だけです。
あとの時代の資料が説明を加えたものは、「〇年の〇〇は、〜と説明している」と書き分けています。

かぎ括弧の中は、国の資料の原文どおりです。
政策のよしあしや、国の資料が結びつけていない因果は書いていません。

次の章では、戦後の病院の不足から、1961 年の国民皆保険までを見ます。

この章の一次資料

  • 平成 19 年版 厚生労働白書 第 1 部 第 1 章 我が国の保健医療をめぐるこれまでの軌跡(厚生労働省PDF)
  • 令和 7 年 人口動態統計(確定数)の概況、統計表(厚生労働省)
  • 令和 7 年国勢調査 人口等基本集計 結果の概要 表Ⅱ-1-1(総務省統計局PDF)
  • 令和 7 年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況(厚生労働省)
  • 令和 5 年度 国民医療費の概況、統計表(厚生労働省)
  • 後期高齢者医療事業年報 令和 6 年度 表 15、表 16(e-Stat)

制度や数値は掲載時点の情報です。最新の内容は所管の原文でご確認ください。 時代の区分は平成 19 年版厚生労働白書に従い、2000 年より後は改正の年で区切りました。数字は国の統計の公表値で、統計ごとに対象と時点が違います(各図の注を参照)。 内容の誤りは訂正受付窓口からお知らせください。