第6章 介護保険と、医療制度の改革(2000〜2014 年)

執筆者/監修

病院ドック編集部

病院ドック運営(株式会社ウェブリク)

病院ドックを運営する株式会社ウェブリクの編集部が、病院の運営にかかわる制度と行政の仕組みを、公的資料をもとに要点をしぼって解説します。

一般の方の目線で医療を分かりやすく伝えることを目指しています。

2000 年、介護保険が始まり、病床は一般病床と療養病床に分かれました。
この章では、窓口の負担の 3 割への統一、DPC、平均在院日数の短縮を掲げた 2006 年の改革、2008 年の後期高齢者医療制度までを見ます。

この時代の数字

  • 病院の平均在院日数(全病床)39.1 → 32.5日2000 年 → 2010 年
  • 一般病床の平均在院日数19.8 → 18.2日2005 年 → 2010 年
  • 高齢者の医療費の割合37.2 → 32.8%2000 年度 → 2008 年度
  • 高齢化率17.4 → 23.0%2000 年 → 2010 年
この時代の数字の歩み。色を敷いた所が、この章の時代(2000〜2014 年)
第 2 章第 3 章第 4 章第 5 章第 6 章第 7 章19611973198520002014019501960197019801990200020102020203020402000 年 39.1 日2010 年 32.5 日2005 年 19.8 日2010 年 18.2 日2000 年 37.2%2008 年 32.8%2000 年 17.4%2010 年 23.0%高齢者の医療費の割合高齢化率平均在院日数病院の全病床平均在院日数一般病床

図の高さは、数字ごとに最も大きい値を上にそろえた。
平均在院日数は病院報告、高齢者の医療費の割合は後期高齢者医療事業年報 表 16(2002 年 10 月から対象の年齢を 75 歳に引き上げ)、高齢化率は国勢調査

2000 年、介護保険と、一般病床と療養病床

2000 年の第 4 次医療法改正「その他病床」を 2 つに一般病床医師と看護師を厚く療養病床主に慢性期の患者別の区分のまま精神、感染症、結核

介護保険は 2000 年 4 月に始まりました。
白書は、医療保険が担っていた高齢者の医療のうち「介護的色彩の強い部分が介護保険に移行することとなった」と書いています(厚生労働省PDF)。
国民医療費も、2000 年度から介護保険に移った費用を含まなくなりました。
介護保険の認定を受けた人は、5 年で約 218 万人から約 411 万人に増えました(厚生労働省PDF)。

同じ 2000 年の医療法の第 4 次改正で、精神、感染症、結核以外の病床が、主に慢性期の患者のための「療養病床」と、医師と看護師を厚くした「一般病床」に分かれました(施行は 2001 年)(厚生労働省PDF)。
平成 23 年版の白書は、それまでの病床を「病床区分が曖昧であった「その他病床」」と書いています。

窓口の負担は 3 割にそろった

図 6-1 窓口の負担の歩み(1961〜2008 年)
1970198019902000被用者保険の本人定額1 割2 割3 割被用者保険の家族5 割3 割入院 2 割、外来 3 割3 割国民健康保険5 割3 割高齢者各制度の負担無料定額1 割高齢者は 2002 年 10 月から、老人保健制度の対象を 75 歳以上に順に引き上げた

本人 3 割は 2002 年の改正で 2003 年 4 月から。
出典: 平成 19 年版 厚生労働白書 印字 19 頁 図表 1-2-3(厚生労働省PDF)、平成 23 年版 印字 75 頁(厚生労働省PDF)

被用者保険の本人の負担は、2002 年の改正で 3 割になり、2003 年 4 月から国民健康保険と同じ割合になりました。
白書は、これで「現役世代における制度間を通じた3割への負担統一がなされた」と書いています(厚生労働省PDF)。
高齢者は 2000 年の改正で定率 1 割(2001 年 1 月から)になり、白書は「老人医療費が無料化されてから、1 割負担に至るまで約 30 年を要したことになる」と書いています(厚生労働省PDF)。
老人保健制度の対象は、2002 年 10 月から 5 年かけて、70 歳以上から 75 歳以上に引き上げられました。

2003 年、DPC

2003 年 4 月からDPC/PDPS報酬の決め方診断群分類ごとに 1 日あたり定額始まり全国 82 の特定機能病院2010 年一般病床の過半数(白書)

2003 年 4 月、全国 82 の特定機能病院で、入院 1 日あたりの定額の報酬を診断群分類ごとに決める DPC/PDPS が始まりました。
白書によると、2010 年には一般病床の過半数を占めるようになりました(厚生労働省PDF)。
2004 年度には、医師の臨床研修が必修になりました(厚生労働省PDF)。

2006 年、平均在院日数と医療費適正化計画

図 6-2 病院の平均在院日数(1975〜2025 年)
0204060197519851995200520152025日54.856.439.125.119.815.32006 年 医療制度改革全病床一般病床(2005 年から)

一般病床は 2001 年の区分の変更のあとの 2005 年から。
全病床は 2008〜2023 年に介護療養病床を含む。
1984〜2025 年の多くの年は現行の区分で整理し直した値で、各年の報告書と一致しない所がある。
出典: 令和 7 年 病院報告 全国編 第 8 表(e-Stat)、平成 9 年 病院報告 上巻 第 8 表、平成 27 年 病院報告の概況(厚生労働省PDF)ほか

平成 23 年版の白書は、2006 年の医療制度改革の理由を次のように書いています。

急速な高齢化の進展等により 2006(平成 18)年当時国民医療費の約 3 分の 1 を 75 歳以上の老人医療費が占めるようになり、2025(平成 37)年には国民医療費の半分弱を占めるまでになると予測された。

中長期的な医療費適正化対策として生活習慣病の予防や平均在院日数の短縮(長期入院の是正のための療養病床の再編成等)の取組みを計画的に進めることで、医療費適正化の総合的な推進を図ることとなった。

平成 23 年版 厚生労働白書 第 1 部 第 2 章 印字 76 頁(厚生労働省PDF)

国と都道府県は医療費適正化計画(5 か年)を作ることになり、その目標の 1 つが「医療の効率的な提供の推進に関する目標(平均在院日数の短縮に対応)」でした(厚生労働省PDF)。
病院の平均在院日数は、2000 年の 39.1 日から、2010 年に 32.5 日、2015 年に 29.1 日になりました。

2008 年、後期高齢者医療制度

2008 年 4 月から後期高齢者医療制度の費用¥公費約 5 割現役世代からの支援金約 4 割高齢者の保険料約 1 割運営都道府県ごとの広域連合

2006 年に成立した健康保険法等の改正で、2008 年 4 月から、老人保健制度に代わって後期高齢者医療制度が始まりました。
白書は、老人保健制度の問題点として「現役世代と高齢世代の費用負担関係が不明確であること」と「財政運営の責任が不明確であること」を挙げています(厚生労働省PDF)。

後期高齢者医療制度のお金の流れは、医療費の見える化講座の第 5 章「若い世代から高齢者への仕送り」で解説しています。

次の章では、2025 年と 2040 年に向けた改革を見ます。

この章の一次資料

  • 平成 23 年版 厚生労働白書 第 1 部 第 2 章 社会保障制度の発展を振り返る(厚生労働省PDF) 印字 67 頁、75〜77 頁
  • 平成 19 年版 厚生労働白書 第 1 部 第 1 章 我が国の保健医療をめぐるこれまでの軌跡(厚生労働省PDF) 印字 11〜12 頁、19〜20 頁
  • 令和 7 年 病院報告 全国編 第 8 表(e-Stat)、平成 27 年 病院報告の概況(厚生労働省PDF)
  • 後期高齢者医療事業年報 令和 6 年度 表 15、表 16(e-Stat)

制度や数値は掲載時点の情報です。最新の内容は所管の原文でご確認ください。 時代の区分は平成 19 年版厚生労働白書に従い、2000 年より後は改正の年で区切りました。数字は国の統計の公表値で、統計ごとに対象と時点が違います(各図の注を参照)。 内容の誤りは訂正受付窓口からお知らせください。