第5章 病院が行政に出す届出と報告
ここまでの章で見た役割を、病院の側から並べ直します。
病院が出す届出と報告は、だれに、いつ、何を出すのか。
そして出したものは、どこで公開されているのか。
相手で 3 つに分ける
病院が出す届出と報告は、相手で大きく 3 つに分かれます。
- 地方厚生(支)局保険医療機関の指定と更新、変更の届、施設基準の届出、施設基準の定例報告。
窓口は都道府県ごとの事務所です。健康保険法、療養担当規則、施設基準の通知 - 都道府県開設と病床の許可、開設後と変更の届出、医療機能情報の報告、かかりつけ医機能報告、医療機関機能・病床機能報告、外来機能報告、医療法人の事業報告書と経営情報。
指定都市などの市が行うことがあります。医療法 - 保健所病院報告、医療施設調査、感染症と食中毒の届出、院内感染の報告と相談。医療法施行令、統計法、感染症法、食品衛生法
覚え方は、「保険のことは厚生局、医療法の報告は都道府県、統計と感染症は保健所」です。
市町村に病院が出す手続きは多くありません。
要介護認定の主治医の意見書のように、市町村から求められるものが中心です。
34 の手続きの相手と根拠は、窓口の早見で引けます。
1 年の流れ
医療機能情報の定期の報告の時期は都道府県が決める。
医療機関機能・病床機能報告と外来機能報告の受付の期間は年度ごとに変わる(令和 8 年度の医療機関機能・病床機能報告は 10 月 19 日〜12 月 11 日)。
出典: 医療機能情報提供制度実施要領、かかりつけ医機能報告マニュアル、令和 8 年度 医療機関機能・病床機能報告 報告マニュアル、適時調査実施要領(厚生労働省)
このほか、毎月 10 日までの病院報告、会計年度の終了後 3 か月以内の医療法人の事業報告書等と経営情報等(外部監査の対象の法人は経営情報等が 4 か月以内)があります。
名称、開設者、管理者、診療科などが変わったときは、その時点で届出と報告をします。
医療機能情報、かかりつけ医機能、医療機関機能・病床機能報告は、医療機関等情報支援システム(G-MIS)で出します。
都道府県に出す 4 つの報告
- 医療機能情報診療科や診療時間など、医療機能に関する情報を報告し、病院でも閲覧できるようにします。
都道府県は公表し、全国共通の医療情報ネット「ナビイ」で 2024 年 4 月から公開されています。医療法 第 6 条の 3 - かかりつけ医機能報告2025 年 4 月から。
特定機能病院と歯科を除くすべての病院と診療所が対象で、毎年 1〜3 月に 1 月 1 日時点の体制を報告します。
ナビイで公表されます。医療法 第 30 条の 18 の 4 - 医療機関機能・病床機能報告一般病床か療養病床を持つ病院と有床の診療所が対象。
病棟ごとの病床の機能と、2026 年度からは医療機関機能を報告します(第 6 章)。
国は、調査の結果をオープンデータとして公開する予定としています。医療法 第 30 条の 13 - 外来機能報告上の報告と一体で出します。
協議の場での協議を経て紹介受診重点医療機関が決まり、都道府県が公表します。医療法 第 30 条の 18 の 2
出典: 医療機能情報提供制度について(厚生労働省)、かかりつけ医機能報告制度(厚生労働省)、医療機関機能・病床機能報告(厚生労働省)、外来機能報告について(厚生労働省)
かかりつけ医機能報告について、国のガイドラインは「本制度は、一部の医療機関を優良なものとして認定したり、患者の受療行動に制限を加えるといったものではなく」と書いています(かかりつけ医機能の確保に関するガイドライン(厚生労働省PDF))。
報告の内容を広告にどう使えるかは、病院の医療広告規制講座で扱っています。
医療機能情報の実施要領は、開設者や診療科などを変えたときの医療法の届出と、医療機能情報の報告は「別に行うもの」としています(医療機能情報提供制度実施要領(厚生労働省PDF))。
1 つを直しても、もう 1 つは自動では直りません。
医療法人が開く病院は、法人として、会計年度の終了後 3 か月以内に事業報告書等を都道府県知事に届け出ます(医療法 第 52 条)。
あわせて、病院と診療所ごとの収益と費用などの経営情報等も報告します(同 第 69 条の 2)。
事業報告書等は法人の単位で、請求があれば都道府県で閲覧できます。
経営情報等は病院の単位で、個別には公開されず、福祉医療機構が集めて分析します(医療法人に関する情報の調査及び分析等について(厚生労働省))。
報告の制度の言葉の説明は、コラム「病床機能報告制度と医療機能情報提供制度」にまとめています。
出した報告は、どこで公開されるか
病院が出した届出と報告の多くは、公開されています。
| 病院が出すもの | 相手 | 公開される所 | 病院ドック |
|---|---|---|---|
| 施設基準の届出 | 地方厚生(支)局 | 各厚生局の届出受理医療機関名簿 | 施設基準のページ、診断 |
| 医療機能情報、かかりつけ医機能報告 | 都道府県 | 医療情報ネット「ナビイ」 | 診断(病床数、診療科など) |
| 医療機関機能・病床機能報告 | 都道府県 | 都道府県の公表、国のオープンデータ | 使っていない |
| 外来機能報告 | 都道府県 | 都道府県の紹介受診重点医療機関の公表 | 使っていない |
| 医療法人の事業報告書等 | 都道府県 | 都道府県での閲覧 | 使っていない |
| 医療法人の経営情報等 | 都道府県 | 個別には公開されない(福祉医療機構が集計と分析) | 使っていない |
「病院ドック」の列は当サイトの仕組み。
ほかの列の出典は各制度の通知と要領(厚生労働省)
病院ドックの診断は、このうち厚生局の名簿と医療情報ネットの 2 つの公開データでできています。
病院が出した届出と報告が、そのまま第三者の目に触れるということです。
届出と実態がずれていると、医療情報ネットや病院ドックの診断にも、ずれた情報が出ます。
自院で確かめること
- 開設者、管理者、診療科、病床を変えたとき、都道府県への届出、地方厚生局への変更の届出、医療情報ネットの報告の 3 つを直したか。
- 医療情報ネット「ナビイ」と厚生局の名簿に出ている自院の情報が、今の実態と合っているか。
- 1 年の報告の期限と担当の一覧が、院内にあるか。
この章の一次資料
- 医療法 第 6 条の 3、第 30 条の 13、第 30 条の 18 の 2、第 30 条の 18 の 4、第 52 条、第 69 条の 2(e-Gov 法令)、医療法施行令 第 4 条の 9(e-Gov 法令)
- 保険医療機関及び保険医療養担当規則 第 11 条の 3(e-Gov 法令)
- 医療機能情報提供制度について(厚生労働省)、医療機能情報提供制度実施要領(厚生労働省PDF)
- かかりつけ医機能報告制度(厚生労働省)、かかりつけ医機能の確保に関するガイドライン(厚生労働省PDF)、かかりつけ医機能報告マニュアル(厚生労働省PDF)
- 医療機関機能・病床機能報告(厚生労働省)、令和 8 年度 報告マニュアル(厚生労働省PDF)
- 外来機能報告について(厚生労働省)、外来機能報告等に関するガイドライン(厚生労働省PDF)
- 医療法人に関する情報の調査及び分析等について(厚生労働省)
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(厚生労働省PDF)
制度や数値は掲載時点の情報です。最新の内容は所管の原文でご確認ください。 権限の委譲や受付の窓口は自治体で異なります。自院の所管は、都道府県と地方厚生局のサイトでお確かめください。 内容の誤りは訂正受付窓口からお知らせください。