第1章 病院は、だれが開いているのか

執筆者/監修

病院ドック編集部

病院ドック運営(株式会社ウェブリク)

病院ドックを運営する株式会社ウェブリクの編集部が、病院の運営にかかわる制度と行政の仕組みを、公的資料をもとに要点をしぼって解説します。

一般の方の目線で医療を分かりやすく伝えることを目指しています。

日本の病院は、だれが開き、行政とどう関わっているのでしょうか。
この章では、開設者の区分を数字で見たうえで、国、都道府県、保健所、市町村の役割の全体図を示します。
第 2 章から第 4 章はこの図の各部分を、第 5 章は病院から見た届出と報告を、第 6 章はこれからの変化を扱います。

病院は 8,001、約 7 割は医療法人

医療法では、20 人以上の患者を入院させる施設を持つものを病院、それより少ないか入院の施設が無いものを診療所と呼びます(医療法 第 1 条の 5(e-Gov 法令))。
2025 年 10 月 1 日現在、全国の病院は 8,001 です。
開いている者(開設者)ごとに見ると、医療法人が 5,585(69.8%)と最も多く、次いで公的医療機関が 1,175(14.7%)です。

図 1-1 開設者別の病院の数と病床の数。施設の約 7 割、病床の 56.5% が医療法人
病院の数8,001 病院医療法人69.8%公的医療機関14.7%その9.9%病床の数1,450,322 床医療法人56.5%公的医療機関20.4%その13.3%医療法人公的医療機関国社会保険関係団体個人その他

2025 年 10 月 1 日現在。
休止中と 1 年以上休診中の施設を除く。
出典: 令和 7 年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況(厚生労働省)表 3、表 8

施設の数では約 7 割の医療法人も、病床の数では 56.5% です。
1 つの病院あたりの病床は、平均で医療法人が 146.6 床、公的医療機関が 251.5 床、国が 379.8 床です。
1 年前(2024 年 10 月 1 日)は 8,060 病院、1,469,845 床で、1 年で 59 病院、19,523 床減りました。

開設者の区分

国の統計は、開設者を次の 6 つに分けています。

  • 医療法人5,585 病院(69.8%)。
    病床は 818,851(56.5%)。
  • 公的医療機関都道府県、市町村、地方独立行政法人、日本赤十字社、済生会、北海道社会事業協会、厚生連、国民健康保険団体連合会。
    1,175 病院(14.7%)。
  • 国厚生労働省、国立病院機構、国立大学法人、労働者健康安全機構、国立高度専門医療研究センター、地域医療機能推進機構など。
    317 病院(4.0%)。
  • 社会保険関係団体健康保険組合とその連合会、共済組合とその連合会、国民健康保険組合。
    47 病院(0.6%)。
  • 個人82 病院(1.0%)。
  • その他公益法人、私立学校法人、社会福祉法人、医療生協、会社など。
    795 病院(9.9%)。

区分の中身は、医療施設調査 調査の概要(厚生労働省)による

医療法は、都道府県、市町村などが開く病院と診療所を「公的医療機関」と呼んでいます(医療法 第 31 条)。
この講座でも、公的医療機関はこの意味で使います。
公的医療機関には、ほかの病院と違う扱いがある所があります(第 3 章の基準病床数)。

行政は 4 つの道で病院と関わる

病院の多くは医療法人が開いていますが、行政は病院の運営に深く関わっています。
その道は大きく 4 つです。

図 1-2 病院と行政の役割分担。許可、計画、保険、監督の 4 つの道
国(厚生労働大臣)基本方針、診療報酬(中医協に諮問)保険医療機関の指定、指導地方厚生(支)局 8都道府県ごとの事務所が窓口都道府県開設と病床の許可医療計画、基準病床数地域医療構想と調整会議立入検査、基金保健所立入検査、感染症の届出病院報告(県、市、特別区が設ける)病院約 7 割は医療法人市町村国民健康保険の窓口、介護保険健診と保健、公立病院の開設者保険指定、施設基準、指導許可監督開設者計画都道府県 → 地域医療計画(6 年ごと)、基準病床数、地域医療構想の調整会議(2027 年 4 月から市町村も)病院は医療機関機能と病床機能を都道府県に報告し、協議に参加する

都道府県の事務の一部は、指定都市、保健所を設置する市、特別区が行う。
出典: 医療法、健康保険法(e-Gov 法令)

道主な相手根拠の法律詳しい章
許可都道府県知事(指定都市では市長)医療法 第 7 条第 3 章
計画都道府県医療法 第 30 条の 4第 3 章、第 6 章
保険厚生労働大臣(窓口は地方厚生局)健康保険法 第 63 条、第 65 条、第 76 条第 2 章
監督都道府県知事、保健所を設置する市の市長、特別区の区長。
保険のことは地方厚生局
医療法 第 25 条、健康保険法 第 73 条、第 78 条第 2 章、第 3 章、第 4 章

病院を開くには都道府県の許可が要り、保険の診療をするには国の指定が要ります。
許可と指定は別の手続きで、相手も別です。
この 2 つの関係は、第 2 章と第 3 章で見ます。

医療保険のお金の流れ(保険者、審査支払機関、だれが払うか)は、医療費の見える化講座の第 6 章「医療保険を動かす組織と、その費用」で扱っています。

自院で確かめること

  • 自院の開設者が、国の統計の区分(国、公的医療機関、社会保険関係団体、医療法人、個人、その他)のどれにあたるか。
  • 開設の許可証と使用の許可証の控えがどこにあり、記載の病床の数と種別が今と合っているか。
  • 自院の所在地で、病院の開設の許可をするのが都道府県知事か指定都市の市長か、立入検査をするのがどの保健所か。

この章の一次資料

  • 医療法 第 1 条の 5、第 7 条、第 25 条、第 30 条の 4、第 31 条(e-Gov 法令)
  • 健康保険法 第 63 条、第 65 条、第 73 条、第 76 条、第 78 条(e-Gov 法令)
  • 令和 7 年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況 2026 年 9 月 29 日公表。
    表 3、表 8(厚生労働省)
  • 医療施設調査 調査の概要(厚生労働省)

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