用語集 — 講座に出る言葉

病院と行政の役割分担講座に出る言葉を、4 つの区分で並べました。
各語に、出てくる章を付けています。
五十音順ではなく、国、都道府県、保健所と市町村、報告と 2040 年の順です。

国

厚生労働省と地方厚生局、保険医療機関と施設基準(第 2 章)

  • 地方厚生(支)局

    厚生労働省の地方の機関。
    北海道、東北、関東信越、東海北陸、近畿、中国四国、九州の 7 つの厚生局と、四国厚生支局がある。
    保険医療機関の指定、施設基準の届出の受理と調査、指導と監督を、都道府県ごとの事務所で行う。
    国民健康保険、共済組合、後期高齢者医療は所管していない。

  • 保険医療機関

    公的医療保険の診療ができるように、厚生労働大臣(窓口は地方厚生局)の指定を受けた病院と診療所(健康保険法 第 63 条、第 65 条)。
    指定は開設の許可のあとで、原則として毎月 1 日付。
    指定は 6 年で効力を失い、病院は更新の手続きをする。
    2026 年 4 月から管理者に要件がある。

  • 中央社会保険医療協議会(中医協)

    厚生労働大臣が診療報酬や療養担当規則を定めるときに諮問する協議会(健康保険法 第 82 条)。
    支払側、診療側、公益の代表の三者で構成される。
    改定率は内閣が、改定の基本方針は社会保障審議会が決め、中医協が点数を審議する。

  • 施設基準

    診療報酬の中で、人員や設備などの基準を満たして地方厚生局に届け出た病院だけが算定できるものの基準。
    月末までに受理されると翌月 1 日から算定できる。
    受理された届出は、各厚生局の届出受理医療機関名簿で公開される。

  • 定例報告

    施設基準を届け出た病院が、毎年 8 月 1 日現在で要件を満たしているかを自ら確かめて、地方厚生局に出す報告。
    適時調査実施要領は 8 月 31 日までの報告を求めている。
    根拠は療養担当規則 第 11 条の 3 と施設基準の通知。

  • 適時調査

    施設基準の届出の内容と実態が合っているかを、地方厚生局が病院に出向いて確かめる調査。
    原則は年 1 回だが、当分の間は都道府県の病院の数に応じて 2〜4 年に 1 巡が目途。
    3 名以内で概ね半日(約 3 時間)以内が標準で、結果は概ね 1 か月以内に文書で届く。

  • 指導と監査

    指導は、保険診療の質の向上と適正化を目的に、懇切丁寧に行うもの(指導大綱)。
    集団指導、集団的個別指導、個別指導の 3 つの形があり、地方厚生局と都道府県が共同で行う。
    監査は、不正や著しい不当が疑われる場合などに、事実を確かめて措置をとるもの(監査要綱)。

都道府県

医療計画、基準病床数、地域医療構想、立入検査(第 3 章)

  • 医療計画

    都道府県が国の基本方針に即して作る、医療提供体制の計画(医療法 第 30 条の 4)。
    5 疾病、6 事業と在宅医療、医療圏、基準病床数、外来医療、医師の確保などを書く。
    6 年ごとに見直し、在宅医療や医師の確保などは 3 年ごと。
    今は第 8 次(2024 年度から)。

  • 二次医療圏

    病院の入院の医療を一体の区域として確保する単位として、都道府県が医療計画で定める区域。
    地理や交通、日常の生活の需要を考えて決める。
    療養病床と一般病床の基準病床数は二次医療圏ごとに定める。
    三次医療圏は概ね都道府県の区域。

  • 基準病床数

    医療計画で定める病床の数の基準で、全国で同じ式で算定する。
    超える地域では、公的医療機関などの開設や増床は許可しないことができ(医療法 第 7 条の 2)、それ以外の病院には知事が勧告できる(第 30 条の 11)。
    勧告に従わないと、保険医療機関の指定で病床が除かれることがある(健康保険法 第 65 条)。

  • 地域医療構想

    将来の医療の需要を見すえて、病院の機能の分化と連携を進めるために都道府県が作る構想。
    厚生労働省は「病床の削減や統廃合ありきではなく」と説明している。
    2027 年 4 月からは 2040 年ごろを見すえ、入院、外来、在宅医療、介護との連携を含む構想になる。

  • 構想区域

    地域医療構想を作り、協議する単位の区域。
    国のガイドラインは、今の二次医療圏を原則としている。

  • 地域医療構想調整会議

    都道府県が構想区域ごとに設ける協議の場(医療法 第 30 条の 14)。
    医療機関どうしの協議で機能の分化と連携を進める。
    2027 年 4 月から関係者に市町村が明記され、介護サービス事業者や地域住民の代表者も加わる。

  • 地域医療介護総合確保基金

    2014 年度に、消費税の増収分などを使って各都道府県に設けられた基金。
    国が 3 分の 2、都道府県が 3 分の 1 を負担する。
    病床の機能の変更、在宅医療、医療従事者の確保などの事業に使われ、募集と窓口は都道府県ごとに違う。

  • 立入検査

    都道府県知事、保健所を設置する市の市長、特別区の区長が、病院の人員、構造設備、記録などを検査させるもの(医療法 第 25 条)。
    国の要綱は、すべての病院を対象に原則年 1 回としている。
    医療監視員が病院に出向き、不適合の事項は文書で伝えられる。

保健所と市町村

保健所、公的医療機関、病院報告(第 1 章、第 4 章)

  • 保健所

    地域保健法にもとづいて、都道府県、指定都市、中核市などの市、特別区が設ける機関。
    2026 年 4 月 1 日現在、本所は 462。
    病院にとっては、立入検査、感染症と食中毒の届出、院内感染の相談、病院報告の窓口。

  • 公的医療機関

    都道府県、市町村などが開く病院と診療所(医療法 第 31 条)。
    国の統計の区分では、地方独立行政法人、日赤、済生会、厚生連なども入り、2025 年 10 月 1 日現在で病院の 14.7%。
    基準病床数を超える地域で許可しないことができるなど、ほかの病院と違う扱いがある。

  • 病院報告

    病院の管理者が、毎月 10 日までに保健所長を経て厚生労働大臣に出す報告(医療法施行令 第 4 条の 9、医療法施行規則 第 13 条)。
    統計法の一般統計調査。

報告と 2040 年

病院が都道府県に出す報告と、改正医療法の言葉(第 5 章、第 6 章)

  • 医療機関機能・病床機能報告

    一般病床か療養病床を持つ病院と有床の診療所が、病棟ごとの病床の機能と、病院として担う医療機関機能を都道府県に出す報告(医療法 第 30 条の 13)。
    2026 年 10 月に病床機能報告から改まった。
    基準日は 7 月 1 日で、G-MIS で出す。

  • 医療機関機能

    病院が地域で担う役割の区分。
    高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能、専門等機能、医育及び広域診療機能の 5 つ(地域医療構想策定ガイドライン)。
    各病院は遅くとも 2028 年度までに、2040 年に担う機能を決めて報告する。

  • 包括期機能

    2026 年度の報告から、病床の機能の「回復期」に代わった区分。
    高齢者などの急性期の患者に、治療と入院早期からのリハビリテーションなどを行い早期の在宅復帰を目指す機能と、従来の回復期機能を併せたもの。
    病床の機能は、高度急性期、急性期、包括期、慢性期の 4 つになった。

  • 外来機能報告

    病院と有床の診療所が外来医療の実施状況を都道府県に出す報告(医療法 第 30 条の 18 の 2。
    無床の診療所は任意)。
    医療機関機能・病床機能報告と一体で出す。
    協議の場での協議を経て、紹介受診重点医療機関が決まり、都道府県が公表する。

  • かかりつけ医機能報告

    特定機能病院と歯科を除くすべての病院と診療所が、毎年 1〜3 月に、1 月 1 日時点のかかりつけ医機能の体制を都道府県に出す報告(医療法 第 30 条の 18 の 4。
    2025 年 4 月施行)。
    内容は医療情報ネット「ナビイ」で公表される。
    国のガイドラインは、医療機関を優良と認定するものではないとしている。

  • 医療機能情報提供制度(医療情報ネット「ナビイ」)

    病院が診療科や診療時間などの医療機能の情報を都道府県知事に報告し、都道府県が公表する制度(医療法 第 6 条の 3)。
    2024 年 4 月から全国共通の医療情報ネット「ナビイ」で公開されている。
    名称や診療科など 9 項目は変わった時点で報告し、医療法の変更の届出とは別に要る。

  • 外来医師過多区域

    外来の医師が特に多い区域として、都道府県が指定する区域(医療法 第 30 条の 18 の 6。
    2026 年 4 月施行)。
    区域で無床の診療所を開こうとする人は、開く日の 6 か月前までに届け出る。
    主に診療所にかかわる仕組み。

  • G-MIS(医療機関等情報支援システム)

    医療機関が国と都道府県への報告を出すウェブのシステム。
    医療機関機能・病床機能報告、かかりつけ医機能報告、医療機能情報の報告は、原則としてこれで出す。

医療法、健康保険法などの条文と、厚生労働省の通知、要領、ガイドラインの言葉を、事務長向けに言い換えたものです。
正確な定義は各資料を参照してください。
保険者や審査支払機関など医療保険のお金の言葉は、医療費の見える化講座の用語集にあります。
権限の委譲や受付の窓口は自治体で異なります。自院の所管は、都道府県と地方厚生局のサイトでお確かめください。