第4章 数字で比べる

執筆者/監修

病院ドック編集部

病院ドック運営(株式会社ウェブリク)

病院ドックを運営する株式会社ウェブリクの編集部が、病院の運営にかかわる制度と行政の仕組みを、公的資料をもとに要点をしぼって解説します。

一般の方の目線で医療を分かりやすく伝えることを目指しています。

この章では、OECD の Health at a Glance 2025 の数字で、6 か国と OECD 平均を比べます。
病床の数が日本より多い韓国も、参考として並べます。
数字は国ごとに年と定義が違うので、図の注と、章の終わりの「数字の読み方」もあわせてご覧ください。

日本の数字(OECD 平均)

  • 病院の病床12.5床人口千人あたり(4.2)。2023 年
  • 急性期の平均在院日数15.7日OECD 平均 6.4。2023 年
  • 臨床の医師2.65人人口千人あたり(3.90)。2022 年
  • 65 歳以上の割合29.1%OECD 平均 18.5%。2023 年

出典: OECD Health at a Glance 2025 図 5.19、5.23、8.4、10.1

医療費

図 4-1 医療費(GDP に対する割合と 1 人あたり。2024 年)
医療費の GDP に対する割合(%)2024 年。図 7.1アメリカ17.2*ドイツ12.3フランス11.5スウェーデン11.3英国11.1日本10.6*韓国(参考)8.4OECD 平均 9.3* アメリカ、日本 OECD の推計1 人あたりの医療費(米ドル)2024 年。図 7.4アメリカ14,885*ドイツ9,365スウェーデン7,871フランス7,367英国6,747日本5,790*韓国(参考)4,797OECD 平均 5,967* アメリカ、日本 OECD の推計

1 人あたりは購買力平価(USD PPP)で米ドルにそろえた値。
日本とアメリカは OECD の 2024 年の推計。
OECD の医療費は、日本の国民医療費より範囲が広い(介護の一部、予防などを含む)。
OECD 平均は 38 か国。
出典: OECD (2025), Health at a Glance 2025: OECD Indicators(OECD) 図 7.1、図 7.4

日本の医療費は、GDP の 10.6% です(2024 年。OECD の推計)。
OECD 平均の 9.3% より高く、6 か国の中ではアメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデン、英国より低い値です。
1 人あたりでは 5,790 ドルで、OECD 平均の 5,967 ドルより少し低くなっています(OECD PDF)。

OECD の医療費は、日本の国民医療費とは範囲が違います。
介護保険の費用の一部や予防なども含むので、国民医療費より大きな値になります。
日本の医療費の中身は、医療費の見える化講座で解説しています。

病床と平均在院日数

図 4-2 病院の病床と、急性期の平均在院日数(2023 年)
人口千人あたりの病院の病床(床)2023 年。図 5.19韓国(参考)12.6日本12.5ドイツ7.7フランス5.4アメリカ2.8*英国2.4スウェーデン1.9OECD 平均 4.2* アメリカ 2021〜22 年急性期の平均在院日数(日)2023 年。図 5.23日本15.7ドイツ7.5英国7.5韓国(参考)7.2アメリカ6.0*フランス5.5スウェーデン5.3OECD 平均 6.4* アメリカ 2021〜22 年

病床は病院のすべての病床で、日本と韓国は病院の中の長期療養の病床を含む。
英国は公立の病院だけ。
平均在院日数は急性期の入院で、日本の病院報告の全病床の平均在院日数とは定義が違う。
アメリカは 2021〜22 年。
OECD 平均は病床 38 か国、在院日数 37 か国(本文は 36 か国で 6.5 日)。
出典: OECD (2025), Health at a Glance 2025: OECD Indicators(OECD) 図 5.19、図 5.23

日本の病院の病床は、人口千人あたり 12.5 床です。
OECD の本文は、OECD 平均の 4.2 床に対して、韓国(12.6 床)と日本(12.5 床)がはるかに多いと書いています(OECD)。
日本は、OECD の中で韓国に次いで多い国です。

日本の病床の内訳(2024 年)人口千人あたり急性期7.7 床病院の中の長期療養2.2 床精神約 2.6 床

病床の数え方は、国によって違います。
日本と韓国の値には、病院の中の長期療養の病床が入っています。
OECD のデータベースで日本の内訳を見ると、急性期 7.7 床、病院の中の長期療養(療養病床)2.2 床、精神 約 2.6 床です(2024 年。OECD Data Explorer、2026 年 10 月 4 日に取得。図 4-2 とは年と版が違う)。
急性期の病床だけを数えても、人口千人あたり 7.7 床です。

急性期の平均在院日数は、日本が 15.7 日で、OECD の本文は日本を最も長い国と書いています(OECD)。
この値は急性期の入院の値で、日本の病院報告の全病床の平均在院日数(2025 年 25.1 日)とは定義が違います(厚生労働省)。
日本の平均在院日数の歩みは、医療制度の歩み講座の第 6 章で解説しています。

医師と受診の回数

図 4-3 臨床の医師と、医師の受診(対面)の回数
人口千人あたりの臨床の医師(人)2023 年。図 8.4ドイツ4.66スウェーデン4.47*フランス3.90英国3.37アメリカ2.72*韓国(参考)2.66日本2.65*OECD 平均 3.90* スウェーデン、アメリカ、日本 2022 年1 人あたりの医師の受診(対面)の回数(回)2023 年。図 5.16韓国(参考)18.0日本12.1*ドイツ9.7フランス5.4アメリカ3.5*スウェーデン2.4英国値なしOECD 平均 6.5* 日本 2022 年。アメリカ 2021〜22 年

医師は患者を直接みている医師(practising)で、2023 年(日本、スウェーデン、アメリカは 2022 年)。
日本の医師の統計は 2 年ごと。
受診の回数は 2023 年(日本は 2022 年、アメリカは 2021〜22 年)。
日本とドイツは外来のすべての受診を数えていて、ほかの国と定義が違う。
英国は比べられる値が無い。
OECD 平均は医師 37 か国、受診 31 か国。
出典: OECD (2025), Health at a Glance 2025: OECD Indicators(OECD) 図 8.4、図 5.16

日本の臨床の医師は、人口千人あたり 2.65 人です(2022 年)。
OECD 平均の 3.90 人より少なく、OECD の本文は、日本と韓国、カナダ、メキシコ、アメリカなどを、OECD 平均と比べて医師が比較的少ない国に挙げています(OECD)。
OECD の日本の要約は、この値を 2.6 人と書いています(OECD PDF)。

1 人あたりの受診の回数は、日本が年 12.1 回(2022 年)で、韓国(18.0 回)に次いで多い値です。
ただし日本の値は外来のすべての受診を数えていて、ほかの多くの国と定義が違います。

65 歳以上の割合と平均寿命

図 4-4 65 歳以上の割合と平均寿命(2023 年)
65 歳以上の割合(%)2023 年。図 10.1日本29.1ドイツ22.2フランス21.8スウェーデン20.4英国18.7韓国(参考)18.3アメリカ17.7OECD 平均 18.5平均寿命(年)2023 年。図 3.1日本84.1韓国(参考)83.5スウェーデン83.4フランス83.0ドイツ81.1英国81.0アメリカ78.4OECD 平均 81.1

OECD 平均は 38 か国。
出典: OECD (2025), Health at a Glance 2025: OECD Indicators(OECD) 図 10.1、図 3.1

人口に占める 65 歳以上の割合は、日本が 29.1% で、OECD の国の中で最も高い値です(2023 年)。
OECD 平均は 18.5% です。
OECD の本文は、2050 年に 65 歳以上の割合が 3 分の 1 を超える見込みの国として、韓国、日本、ギリシャ、ポルトガル、イタリアの 5 か国を挙げています(OECD)。

平均寿命は、日本が 84.1 年で、OECD 平均より 3.0 年長くなっています(OECD PDF)。

数字の読み方

OECD の数字を読むときに年、定義、推計年国によって最新の年が違う定義病床や受診の数え方が違う推計と改定新しい年の値はあとで直る

OECD の数字は、毎年改定されます。
たとえば日本の 2024 年の医療費は、Health at a Glance 2025 では GDP の 10.6%(OECD の推計)ですが、その後の OECD のデータベースでは暫定値で 10.3% になっています。
この講座は、1 つの図の中で版を混ぜないように、Health at a Glance 2025 の値にそろえました。

順位は、どの国を比べるか、どの年の値かで変わります。
この講座で「最も」「次いで」と書いたのは、OECD の本文か表でそう読めるものだけです。
数字の大小は、それだけで医療の良し悪しを表すものではありません。

次の章では、ここまでの比べ方をもとに、日本の仕組みの特徴をまとめます。

この章の図は、OECD の Health at a Glance 2025: OECD Indicators(OECD Publishing, Paris)(OECD)の数値をもとに、病院ドック編集部が作ったものです。
これは OECD の原著作物を改変したものです。この改変で示された意見や議論は、OECD またはその加盟国の公式の見解として扱わないでください。
原文: This is an adaptation of an original work by the OECD. The opinions expressed and arguments employed in this adaptation should not be reported as representing the official views of the OECD or of its Member countries.
原著作物は Creative Commons Attribution 4.0 International licence(CC BY 4.0)で公開されています。

この章の一次資料

  • OECD (2025), Health at a Glance 2025: OECD Indicators(OECD)(図 3.1、5.16、5.19、5.23、7.1、7.4、8.4、10.1 と各図の StatLink の Excel)
  • Health at a Glance 2025 Country Note: Japan(OECD PDF)
  • 令和 7 年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況(厚生労働省)

制度や数値は掲載時点の情報です。最新の内容は所管の原文でご確認ください。 国の仕組みは厚生労働省の 2025 年 海外情勢報告、数字は OECD の Health at a Glance 2025 によります。国ごとに数字の年と定義が違います(各図の注を参照)。国の優劣を示すものではありません。 内容の誤りは訂正受付窓口からお知らせください。