用語集 — 講座に出る言葉
病院の勤務環境改善講座に出る言葉を、7 つの区分で並べました。
各語に、出てくる章を付けています。
五十音順ではなく、法と仕組み、相談先、医師の働き方改革、看護職員、業務の分担、診療報酬と基金、ハラスメントと両立の順です。
法と仕組み
第 1 章。医療法の条文、マネジメントシステム、2027 年の認定制度
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勤務環境改善マネジメントシステム
医療機関が PDCA サイクルで計画的に勤務環境の改善に取り組む仕組み。
2014 年の改正医療法で創設され、国の指針(医療勤務環境改善マネジメントシステムに関する指針)が同年 10 月から適用された。
国の手引きは、方針表明、体制整備、現状分析、目標設定、計画の策定、取組の実施、評価と改善の 7 つのステップで示している。 -
医療法第 30 条の 19
病院又は診療所の管理者は、医療従事者の勤務環境の改善その他の医療従事者の確保に資する措置を講ずるよう努めなければならない、と定める条。
2014 年 10 月 1 日施行。
令和 8 年法律第 31 号の改正で、2027 年 4 月から「業務の効率化」が加わる。 -
医療勤務環境改善マネジメントシステムに関する指針
医療法第 30 条の 20 に基づき厚生労働大臣が定め公表する、管理者が講ずべき措置の指針。
2014 年 9 月 26 日に告示され、10 月 1 日から適用された。
手引きと支援ツールは、いきいき働く医療機関サポート Web(いきサポ)で配布されている。 -
健康保険法等の一部を改正する法律(令和 8 年法律第 31 号)
2026 年 5 月 29 日に成立し、6 月 5 日に公布された法律。
医療機関の業務効率化と勤務環境改善の取組を支援する措置として、基金の新しい区分、病院の認定制度、勤改センターの機能強化、努力義務の明確化を盛り込んだ。
医療機関に関わる部分の施行は 2027 年 4 月 1 日(一部は 2027 年 1 月 1 日)。 -
業務効率化・勤務環境改善計画
認定を申請する病院の管理者が作る計画。
計画期間、達成しようとする目標、取組の内容と実施時期、省令で定める事項を書く。
計画の進捗と効果を評価する委員会を置き、評価の結果を勘案して計画を見直す体制が認定の要件になる。 -
認定病院
業務効率化・勤務環境改善計画を作り、厚生労働大臣の認定を受けた病院。
認定から 6 年に限り省令で定める表示ができ、認定病院でないものは紛らわしい表示をしてはならない。
毎年 1 回以上、取組の実施状況を公表する義務があり、計画どおり実施しないときなどは取り消される。 -
いきいき働く医療機関サポート Web(いきサポ)
厚生労働省の委託事業が運営する、医療機関の勤務環境改善のための情報サイト。
勤改センターの一覧、マネジメントシステムの手引きと支援ツール、医師の働き方改革の制度解説と Q&A、取り組み事例を載せている。
講座の一次資料の多くはここから引ける。
相談先
第 2 章。医療勤務環境改善支援センターと、その運営に出る言葉
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医療勤務環境改善支援センター(勤改センター)
医療法第 30 条の 21 に基づき都道府県が置く、医療従事者の勤務環境改善を促進する拠点。
2017 年 3 月までに全都道府県に設置され、都道府県の直営が 19、医師会や病院協会などへの委託が 28。
医療労務管理アドバイザーと医業経営アドバイザーが、相談、個別訪問、セミナーで医療機関を支援する。
利用は無料で、利用したことをきっかけに労働基準監督署の立入検査が行われることはないと国が明記している。 -
医療労務管理アドバイザー
勤改センターに配置される社会保険労務士等。
都道府県労働局の委託事業(医療労務管理支援事業)で、労働時間の管理、36 協定、宿日直許可、シフトの作成など労務管理全般の相談と個別訪問に応じる。
約 8 割の都道府県で常時配置され、相談の内容は労働時間の管理と宿日直許可が多い。 -
医業経営アドバイザー
勤改センターに配置される医業経営コンサルタント等。
都道府県の基金の事業で、診療報酬、補助制度の活用、組織マネジメント、PDCA の進め方を助言する。
約 8 割の都道府県でスポット対応で、労務管理アドバイザーと一体で訪問する。 -
運営協議会
都道府県が主催し、勤改センターの支援方針を決める会議。
労働局、労務管理支援事業の受託者、大学病院、医師会、看護協会、病院団体、社会保険労務士会、医業経営コンサルタント協会などが参画する。
多くの都道府県で年 1〜2 回開かれる。 -
年次活動計画
都道府県が毎年度作る勤改センターの活動計画。
令和 6 年 11 月 27 日の事務連絡で、管内の医療機関の課題、重点的に支援する医療機関の優先順位、支援方法、設置方法、成果目標を書くよう求められた。
アウトカム指標を設定している都道府県は一部にとどまると、2026 年度の検討会で指摘されている。
医師の働き方改革
第 3 章。水準、指定、追加的健康確保措置、宿日直許可、研鑽
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A 水準
医師の時間外・休日労働の上限の原則。
月 100 時間未満、年 960 時間。
都道府県の指定が要らず、すべての医療機関に適用される。
令和 7 年の調査では病院の常勤医の 51.4% が A 水準と答えた。 -
B 水準(地域医療確保暫定特例水準)
救急医療などで地域医療の確保のためにやむを得ず医師を長時間従事させる医療機関に、都道府県知事が指定する特例。
上限は月 100 時間未満、年 1,860 時間。
2035 年度末までの解消が目標で、指定は 2026 年 4 月で 403 機関。 -
連携 B 水準
医師を他の医療機関に派遣し、派遣先の労働時間を通算すると長時間労働になる医療機関の特例。
自院での上限は年 960 時間で、副業と兼業の先と合わせて年 1,860 時間まで。
指定は 2026 年 4 月で 148 機関。 -
C-1 水準(集中的技能向上水準。C-2 水準も同じ区分)
C-1 は臨床研修医と専攻医の研修のため、C-2 は高度な技能の修得のための特例で、上限は年 1,860 時間。
指定は 2026 年 4 月で C-1 が 135 機関、C-2 が 13 機関。
C-2 の申請が少ない理由と運用の改善が、2026 年度の検討会で議論されている。 -
特定労務管理対象機関
B、連携 B、C-1、C-2 のいずれかの指定を受けた医療機関の総称。
指定を受けるには、医師労働時間短縮計画の案、面接指導と休息時間の確保の体制、労働法令の違反による処分等がないことが要り、評価センターの評価を受ける。
2026 年 4 月で 479 機関。 -
医師労働時間短縮計画
医師の労働時間の短縮に関する計画。
特例水準の指定の申請に案を添え、医師その他の関係者の意見を聴いて作る。
A 水準の病院は作成が努力義務。
書き方は医師労働時間短縮計画作成ガイドライン(令和 6 年 11 月改正)とひな型で示されている。 -
医療機関勤務環境評価センター
医療法第 131 条に基づき、医療機関の求めに応じて医師の労働時間短縮の取組の状況を評価し、助言と指導を行う機関。
評価の結果は都道府県が公表する。
令和 5〜7 年度に 498 機関に結果を通知し、受審から結果通知まで概ね 4 か月かかる。 -
追加的健康確保措置
上限規制と併せて医師の健康を守るための措置。
面接指導、勤務間インターバル、代償休息の 3 つがある。
面接指導はすべての水準で義務、勤務間インターバルと代償休息は A 水準で努力義務、特例水準で義務。 -
面接指導
各月の時間外・休日労働が 100 時間以上になる見込みの医師に、管理者が面接指導実施医師に行わせる指導(医療法第 108 条)。
結果に基づき意見を聴き、必要なら労働時間の短縮や宿直の回数の減少などの措置をとる。
面接指導実施医師養成講習会の修了者は 2026 年 5 月で 15,035 名。 -
勤務間インターバル
業務の開始から一定の時間までに確保する、継続した休息時間。
医師は 9 時間が基本で、宿日直許可のある宿日直を挟む場合の扱いが別に定められている。
確保できなかったときは代償休息をとる。
一般の労働者には 2019 年 4 月から事業主の努力義務で、看護師等確保基本指針も看護職員への確保を求めている。 -
代償休息
勤務間インターバルを確保できなかったときに、事後に相当する休息時間を確保すること。
特定労務管理対象機関では、勤務ではない時間や公休日で確保している病院が増えている。 -
宿日直許可
労働基準法第 41 条第 3 号に基づき、監視または断続的労働について労働基準監督署が与える許可。
許可のある宿日直の待機時間は労働時間に数えない。
自分の宿日直に許可があるかを知っている医師は 71.0% で、許可の申請は勤改センターの相談で多い内容の 1 つ。 -
自己研鑽
医師が診療のほかに行う学習、研究、技能の修練。
上司の指示や業務との関連で労働時間にあたるものとあたらないものを区分する。
区分の規程があり運用している病院は 36.3% で、58.4% は規程がない。
若手医師の調査では、長時間労働の医師ほど区分に不満がある。 -
短縮目標ライン
医師の労働時間短縮等に関する指針(令和 4 年厚生労働省告示第 7 号)が示す、B と連携 B の医師が目指す時間外・休日労働の目標値。
2024 年 4 月の時間数から 3 年ごとに段階的に下げ、2036 年に年 960 時間に到達する。
3 年ごとに見直しを検討し、2026 年度の検討会で次期の設定が議論されている。
看護職員
第 4 章。確保基本指針、夜勤、処遇改善
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看護師等確保基本指針
看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針。
看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づく告示で、1992 年の制定から初めて 2023 年 10 月 26 日に改定された。
夜勤の負担軽減、勤務間インターバルの確保、ICT の活用が改定で書かれた。 -
月平均夜勤時間(72 時間以下の要件)
入院基本料の通則として、看護職員の月平均夜勤時間を 72 時間以下とする要件。
2006 年から複数夜勤とともに要件になり、満たせないときの減算や代替の評価が段階的に設けられた。
日本看護協会の 2025 年調査では、一般病棟で月 72 時間を超える夜勤者が 33.9%。 -
負担の軽減及び処遇の改善に資する計画
看護職員夜間配置加算などの施設基準が求める計画。
令和 8 年度の改定で「夜勤を含む」計画になった。
令和 8 年度の改定で、夜勤を含む現状の勤務状況を把握し、問題点を抽出し、具体的な取組と目標達成の年次を書くよう要件が明確になった。
計画は職員に周知し、取組事項を院内に掲示などで公開する。 -
看護職員の離職率
日本看護協会が病院看護実態調査で毎年公表する値。
年間の総退職者数を平均職員数で割る。
2024 年度は正規雇用 11.0%、新卒 8.4%、既卒 16.1% で、99 床以下では 13.1%、500 床以上では 10.0% と小さい病院ほど高い。
国の統計ではなく、協会の調査。 -
2040 年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会
新たな地域医療構想の策定に合わせ、看護職員の養成、確保、勤務環境改善を検討する厚生労働省の会。
論点に、看護管理者の能力向上、多様で柔軟な働き方(両立支援と夜勤)、ICT による業務効率化、ハラスメント対策が挙がっている。
今の議論は病院ドックの政策の動きで追える。
業務の分担
第 5 章。タスク・シフト/シェア、特定行為、支援人材
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タスク・シフト/シェア
医師の業務のうち、他の医療関係職種が実施できるものを移したり分担したりすること。
2021 年 9 月 30 日の厚生労働省医政局長通知が、現行制度の下で可能な業務を 13 の職種ごとに示した。
進めるには意識改革、知識と技能の習得、余力の確保の 3 つが要ると通知は書いている。 -
特定行為研修
医師の手順書により看護師が特定行為を行うための研修。
保健師助産師看護師法第 37 条の 2 に基づく。
修了者と業務を分担している病院は 28.5% で、3 年で 8.8 ポイント増えた。
領域別の活用ガイドが令和 7〜8 年に発行されている。 -
医師事務作業補助者
医師の指示で、診断書や診療情報提供書などの文書作成の補助、代行入力、データ整理、カンファレンスの準備などを担う職員。
配置は医師事務作業補助体制加算で評価され、令和 8 年度の改定で業務の範囲が明確になった。
退院サマリーの作成を担っている特定労務管理対象機関は 52.0%。 -
看護補助者
看護職員の指示で、生活の援助や環境の整備などを担う職員。
配置は看護補助加算と急性期看護補助体制加算で評価される。
国は看護補助者と医師事務作業補助者を医療専門職支援人材と呼び、確保と定着のための手引書やセミナーを用意している。 -
複数主治医制
1 人の患者を複数の医師で受け持ち、特定の医師に負担が集中しないようにする体制。
導入している病院は 33.1% で、3 年で 8.8 ポイント増えた。
国は国民に向けて、複数主治医制と診療時間内の受診への理解を求める周知を行っている。
診療報酬と基金
第 6 章。加算と評価料、地域医療介護総合確保基金
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地域医療体制確保加算
救急や周産期などで地域医療に重要な機能を担い、医師の働き方改革を実施する体制を評価する入院の加算。
令和 2 年度に新設され、時短計画の作成、労働時間の客観的な把握、対象医師の時間外・休日労働の基準が要件。
令和 8 年度の改定で加算 1(620 点)と加算 2(720 点)に分かれた。
届出は国の集計で令和 6 年に 1,169 病院。 -
ベースアップ評価料
2024 年 6 月に始まった職員の賃上げの評価。
入院ベースアップ評価料と外来・在宅ベースアップ評価料がある。
令和 8 年度の改定で対象が「勤務する職員」に広がり、賃金改善の合計額の 3 分の 2 以上を基本給か毎月の手当に充てる要件は変わらず、夜勤手当の増額に充てられるようになった。 -
看護職員処遇改善評価料
2022 年 10 月に始まった看護職員の賃金改善の評価。
救急搬送件数などの要件を満たす病院が届け出る。
令和 8 年度の改定で届出の様式がベースアップ評価料と統合され、収入を夜勤手当に充てられるようになった。 -
地域医療介護総合確保基金
消費税の増収分を財源に、国が 3 分の 2、都道府県が 3 分の 1 を負担して都道府県に置く基金。
事業区分Ⅵ「勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備に関する事業」に令和 8 年度は 95 億円があり、令和 6 年度の交付の 78% は大学病院。
改正法で業務効率化・勤務環境改善の新しい区分が 2027 年 4 月に加わる。 -
届出率(病院ドックの集計)
病院ドックが厚生局の届出受理医療機関名簿から集計した、診断対象の病院のうち勤務環境にかかわる施設基準を届け出ている病院の割合。
全国の集計だけを講座に載せ、病院ごとの有無は施設基準ページに任せる。
届出の有無は体制の一面で、規模や機能で取れない加算があるため、優劣ではない。
ハラスメントと両立
第 7 章。カスタマーハラスメント対策、ストレスチェック、両立支援
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カスタマーハラスメント
職場で行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者などの言動で、社会通念上許容される範囲を超えたものにより労働者の就業環境が害されること。
改正労働施策総合推進法が定義し、2026 年 10 月 1 日から事業主に雇用管理上の措置を義務付けた。
医療機関では患者や家族の言動が当たりうる。 -
雇用管理上講ずべき措置
カスタマーハラスメントの指針(令和 8 年厚生労働省告示第 51 号)が事業主に求める措置。
方針の明確化と周知、相談体制の整備、事後の迅速かつ適切な対応、抑止のための措置、相談者のプライバシー保護と不利益取扱いの禁止の 5 つの柱からなる。 -
ストレスチェック
労働安全衛生法に基づき、常時 50 人以上の労働者がいる事業場が年 1 回行う心理的な負担の検査。
高ストレス者から申出があれば医師の面接指導を行う。
改正法で 50 人未満の事業場にも義務が広がり、施行は 2028 年 4 月 1 日の予定。 -
両立支援
育児や介護、治療と仕事の両立を支える制度と取組。
育児・介護休業法に基づく休業、短時間勤務、時間外と深夜の労働の制限のほか、院内保育所や復職研修がある。
女性医師の調査では、乳幼児を持つ女性医師の 8 割程度が育休を取り、取らなかった理由に「制度がなかった」「代わりの医師がいない」が挙がった。
医療法、労働基準法、令和 8 年の改正法、告示と通知、厚生労働省の検討会の資料、いきいき働く医療機関サポート Web の手引きの言葉を、事務長向けに言い換えたものです。
看護職員の離職率は日本看護協会の調査の値で、国の統計ではありません。
正確な定義は各資料を参照してください。
労務の適用は個別の事情で異なります。判断に迷うときは、都道府県の医療勤務環境改善支援センターへご相談ください。