自己点検 — 自院の医療安全の体制の点検 21 項目

病院の医療事故講座の 7 章の観点を、21 の点検項目にしました。
自院にその体制が「ある」「ない」「分からない」で答えると、見直す項目と、詳しい章が分かります。
項目は講座の判断ではなく、医療法施行規則、2026 年 3 月の通知「病院等における医療の安全を確保するための措置について」、診療報酬の施設基準を元にしています。

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点数や合否、適合の印は出しません。この点検は法令への適合を判断するものではありません。

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下の項目に答えると、ここに見直す項目が出ます。

法と体制5 項目

第 1 章。指針、委員会、研修、医療安全管理者

1 医療安全管理のための指針が文書になっていて、2026 年 3 月の通知の 8 項目(基本的考え方、組織、研修、改善方策、事故発生時の対応、患者との情報共有、相談、その他)を含む。

指針は医療法施行規則第 1 条の 11 で整備が義務づけられています。
通知の 8 項目を見出しにして、今の指針に足りない項目を書き足すところから始められます。
委員会がある病院は、委員会で策定と変更をします。

2 医療安全管理委員会が規程をもって月 1 回程度開かれ、重要な検討内容を患者への対応状況を含めて管理者に報告している。

通知は委員会を月 1 回程度、重大な問題が発生したら適宜開くこととしています。
各部門の責任者等で構成し、管理と運営の規程を定めます。
議事録に管理者への報告を残します。

3 医療安全の職員研修を年 2 回程度行い、日時、出席者、研修項目を記録している。

通知は年 2 回程度の定期的な研修と、必要に応じた研修を求めています。
自院の具体的な事例を取り上げ、職種横断的に行うことが望ましいとされています。
開催日時、出席者、項目を記録します。

4 医療安全管理者(常勤職員。病院では院長と兼務しない)を配置し、委員会の支援と改善方策の業務を担わせている。

2026 年 4 月 1 日から、病院と有床の診療所と入所施設のある助産所に配置が求められています。
医療関連資格の有無は問わず、医薬品安全管理責任者など他の役職との兼務はできます。
指針の業務指針を参考に業務を決め、研修の受講が望ましいとされています。

5 電子カルテなどの医療情報システムが止まったときに診療を続ける手順(サイバー攻撃の想定を含む BCP)があり、医療安全管理委員会がその手順を知っている。

サイバーセキュリティの確保は、医療安全の体制と並ぶ管理者の義務です(施行規則第 14 条第 2 項)。
厚生労働省のチェックリスト 3-③ はサイバー攻撃の想定を含む BCP の策定を求め、立入検査で現物を確認します。
災害用の BCP に、システムが止まったときの紙と口頭の手順を足すところから始められます。
手順は医療安全管理委員会と共有し、別表の事象を止まっている間にどう防ぐかまで書きます。

判断と記録4 項目

第 2 章。死亡事例の把握、医療事故の判断のプロセス、遺族への対応、記録

6 管理者が自院の全死亡・死産事例を把握する仕組みがある(様式、チェックシート、定期的な振り返りなど)。

医療事故の報告を適切に行うために、死亡と死産を確実に把握する体制が管理者に求められています。
小さい病院は、管理者が定期的に直近の死亡事例を診療録から振り返る方法でもよいと通知の別添 1 は示しています。

7 死亡・死産事例から医療事故に該当する可能性のある事例を抽出し、最終的に管理者が判断するまでのプロセスが指針に書いてある。

2026 年 4 月から指針に書くことになった項目です。
抽出の方法、検討する会議、支援団体やセンターに相談する基準、管理者の判断までを、自院の規模に合わせて書きます。
別添 1 のプロセスの例 ①と②を写してから直すのが近道です。

8 遺族等から医療事故ではないかと申出があったとき(センターからの伝達を含む)に、改めて判断し、結果を説明するプロセスが指針に書いてある。

申出を受け付ける窓口と院内の検討方針を決め、指針に書きます。
検討した結果、理由、説明の内容を記録に残します。
センターからの伝達も同じ流れで扱います。

9 医療事故の該当性の判断の結果、理由、遺族等への対応の記録を作り、保存期間を定めている。

施行規則第 1 条の 11 第 1 項第 6 号の記録です。
スクリーニングシート、レビューの記録、会議の議事録、管理者の判断の結果と理由が例に挙がっています。
各文書の性質に応じて保存期間を定めます。

相談先2 項目

第 3 章。支援団体とセンターの窓口、研修

10 自院の都道府県の医療事故調査等支援団体の窓口(都道府県医師会の協議会など)と、医療事故調査・支援センターの相談窓口の連絡先を知っていて、指針に書いてある。

医療法は管理者に、支援団体に支援を求めるものとしています。
都道府県ごとに支援団体等連絡協議会があり、多くは都道府県医師会がとりまとめています。
連絡先を指針に書き、担当者で共有します。

11 管理者(または判断に携わる者)が医療事故調査制度の研修を受けている。2029 年 4 月からの義務の対象と期限を知っている。

2029 年 4 月 1 日から、病院は規模にかかわらず管理者等の受講が求められます。
研修はセンター、協議会、支援団体が指針に沿って行うものに限ります。
2026 年 4 月より前に受けた制度の研修も、内容が確認できれば受講したとみなされます。

重大事象と報告4 項目

第 5 章。別表 1 と 2、インシデントの報告と学習、管理者への報告

12 指針の「委員会に報告すべき事例の範囲」に、別表 1 の 12 事象(手術の取り違え、異物遺残、投与経路間違いなど)が入っている。

2026 年 3 月の通知は、報告すべき事例に別表 1 の事象を含めることとしています。
重大事象の早見の 12 事象を指針の該当箇所に写し、重大な検査結果の重大性の定義など、各病院で決めるものを決めます。

13 別表 2 の 12 事象(術中心停止、転倒・転落による死亡など)を集積して傾向を把握する仕組みがある。

通知は別表 2 を含めるよう努めることとし、医療安全対策加算 1 では部門への集積と傾向の把握、必要な検証と記録と委員会への報告が施設基準になりました。
大量出血と高線量被曝の基準は各病院で決めます。

14 インシデント報告の件数と内訳を委員会で定期的に見て、改善策の実施状況を確かめ、見直している。

施行規則は委員会に、改善のための方策の実施状況の調査と必要に応じた見直しを求めています。
件数の推移、部署ごとの報告の偏り、改善策の実施状況を定例の議題にします。
通知は、構成員が定期的に関係部署を巡回する方法を挙げています。

15 重大な事故が起きたとき速やかに管理者に報告し、管理者が診療の継続の可否を含めて対応する決まりがある。

通知は、管理者が委員会から重大な事故の報告を受けたら、当該診療の継続の可否の検討を含めて適切な対応を行うこととしています。
緊急時の連絡ルートと、管理者が判断する会議の開き方を指針に書きます。

診療報酬の要件3 項目

第 6 章。届け出ている加算が求める研修、カンファレンス、記録、相互評価

16 届け出ている医療安全対策加算の区分(専従か専任か)と、医療安全管理者の 40 時間以上の研修の修了を確かめている。

加算 1 は専従、加算 2 は専任の医療安全管理者で、どちらも通算 40 時間以上の研修の修了が要件です。
加算 1 の専従者は月 16 時間まで他の業務に従事できます。
届出の様式 35 と研修の修了証を確かめます。

17 医療安全対策の取組を評価するカンファレンスを週 1 回程度開き、業務改善計画書と活動実績を記録している。

施設基準は、業務改善計画書の作成と実施状況の記録、院内研修の実績、患者等の相談件数と内容、相談後の取扱いの記録、週 1 回程度のカンファレンスを求めています。
カンファレンスは対面によらなくてもよいとされています。

18 医療安全対策地域連携加算を届け出ているなら、連携する医療機関との年 1 回程度の相互評価の記録がある。

加算 1 の医療機関は連携先に赴いて評価し報告し、加算 1 の医療機関から評価を受けます。
加算 2 は加算 1 の医療機関から評価を受けます。
評価の項目は「医療安全相互チェックシート」などを参考に連携先と決めます。

患者との対話3 項目

第 7 章。相談窓口、指針の閲覧、院内の取組の発信

19 患者相談窓口の担当者と、相談の記録、委員会への報告の流れが決まっている。

指針には患者からの相談への対応の基本方針を書きます。
医療安全対策加算は相談と支援が受けられる旨の掲示を、患者サポート体制充実加算は専任の職員を常時 1 名以上置く窓口と、相談の記録と委員会との連携を求めています。

20 医療安全管理指針を、患者が閲覧できるようにしている(掲示、ウェブサイト、窓口)。

通知は、医療従事者と患者との情報の共有に関する基本方針に、患者等に対する指針の閲覧に関する基本方針を含めることとしています。
閲覧の方法を決めて指針に書き、窓口で案内できるようにします。

21 医療安全推進週間などに院内の取組を患者に示し、医療安全支援センターの役割を職員が知っている。

医療安全推進週間は毎年度 11 月 25 日を含む 1 週間で、厚生労働省がポスターと取り組み記入用紙を配っています。
患者と家族の苦情と相談が届く都道府県等の医療安全支援センターの役割を、相談窓口の担当者が知っておきます。

この点検のあとに

見直す項目は、詳しい章で、国の資料がどう書いているかと最初の一歩を確かめます。
指針の見直しの手順は第 7 章にあります。
印刷した結果は、医療安全管理委員会の議題や、都道府県の支援団体への相談の出発点になります。
個別の事案への対応は事情で異なります。判断に迷うときは、都道府県の医療事故調査等支援団体か医療事故調査・支援センターへご相談ください。

  • 病院等における医療の安全を確保するための措置について(医政発 0331 第 72 号。2026 年 3 月 31 日)(厚生労働省PDF)指針の 8 項目、委員会、研修、別表 1 と 2、判断のプロセスの例
  • 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保医発 0305 第 7 号)(厚生労働省PDF)医療安全対策加算、地域連携加算、患者サポート体制充実加算の施設基準