表現の早見 — この言葉は書けるのか

病院のホームページに書く言葉を、書ける、条件つきで書ける、書けない、対象外の 4 つに分けました。
区分は講座の判断ではなく、厚生労働省の医療広告等ガイドライン(令和 8 年 3 月 30 日最終改正)、Q&A、事例解説書(第 6 版)の記載です。
各行の出典を押すと、原文の該当ページが開きます。

比較と最上級

「日本一」「地域で有数」「最新」など

  • 書けない

    日本一、No.1、最高、最良、最上

    最上級の表現は、客観的な事実であっても比較優良広告にあたります。
    「最良」「最上」も同じです。

  • 書けない

    県内一の医師数、地域で有数、日本有数の実績

    他の医療機関より優れている旨の表現は比較優良広告です。
    ガイドラインは「当院は県内一の医師数を誇ります」を例に挙げています。

  • 書けない

    最先端の医療、最適な治療

    「最先端」「最適」は誇大広告にあたるため広告できません。

  • 条件つきで書ける

    最新の医療機器

    医学的、社会的な常識の範囲で事実と認められれば書けます。
    求められれば根拠を示し、客観的に実証できることが要ります。
    より新しいものが定着したあとや、十数年前のものは虚偽か誇大のおそれがあります。

  • 書けない

    絶対安全、必ず成功、比較的安全な手術

    「絶対安全」「必ず成功」は虚偽広告、「比較的安全」は誇大広告の例です。

  • 書けない

    どなたでも〇〇が受けられます

    治療の内容は診察の結果で決まるので、必ず特定の治療を受けられるような表現は虚偽広告です。

  • 書けない

    こんな症状が出ていれば命に関わります、今すぐ受診ください

    特定の症状のリスクを強調して受診へ誘導する表現は、誇大広告の例です。

  • 書けない

    知事の許可を取得した病院です

    病院の開設に許可が要るのは当然のことで、特別なもののように強調するのは誇大広告の例です。

名称と診療科

「〇〇センター」、専門外来、診療科名

  • 条件つきで書ける

    〇〇センター

    救命救急センターや総合周産期母子医療センターのように法令や国の事業で一定の医療を担う場合か、地域の中核的な機能を担うと都道府県等が認める場合に限り書けます。
    それ以外は誇大広告として扱われます。
    ただし、患者向けに院内掲示している部門名をそのままサイトに載せた場合などは、原則として誇大とは扱われません。

  • 条件つきで書ける

    糖尿病外来、認知症外来などの専門外来

    「専門外来」は広告可能な診療科名と誤認させるため、そのままでは書けません。
    ホームページでは問い合わせ先の明示(限定解除)で書けます。
    「糖尿病の治療を実施している」のように、特定の治療や検査を実施する旨は書けます。

  • 条件つきで書ける

    総合診療科

    広告可能な診療科名ではありません。
    ホームページでは限定解除の要件を満たせば書けます。

  • 条件つきで書ける

    麻酔科

    麻酔科を書くときは、許可を受けた医師の氏名を併せて書かなければなりません。
    書かないと罰則の対象です。

医師と資格

専門医、認定医、役職、医学博士

  • 書けない

    〇〇専門医(認定した団体の名前なし)

    単に「〇〇専門医」と書くのは誤解を与えるものとして誇大広告にあたります。
    「厚生労働省認定〇〇専門医」は虚偽広告です。

  • 書ける

    日本専門医機構認定〇〇専門医、〇〇学会認定〇〇専門医

    認定した団体の名前と資格名を併せて書けば書けます。
    機構の認定は基本的な 19 の診療領域に限ります。
    学会の専門医は、厚生労働大臣に届け出た団体のものが当分の間書けます。

  • 条件つきで書ける

    認定医、指導医、研修歴、産業医

    広告可能事項ではありません。
    ホームページでは限定解除の要件(問い合わせ先の明示)を満たせば書けます。

  • 条件つきで書ける

    学会の役員、医師会の役職

    現任で、活動内容や役員名簿が公開されていれば略歴として書けます。
    単に会員である旨は原則として書けません。

  • 条件つきで書ける

    医学博士

    略歴として書けます。
    取得した年と大学を併せて書くことが望ましいとされています。

  • 条件つきで書ける

    医師数〇名、看護師数〇名

    いつの時点の数かを月の単位で併記し、サイトや年報で公表し、少なくとも年に 1 度は更新します。
    実態より多いままにしておくと誇大広告です。

実績と数字

手術件数、平均在院日数、施設基準の届出、満足度

  • 条件つきで書ける

    病院の手術件数、分娩件数

    対象の期間を月の単位で併記し、サイトや年報で公表していることが条件です。
    総数や 30 年分の合計ではなく、1 年ごとに集計して複数年を示すことが望ましいとされています。

  • 条件つきで書ける

    医師個人の手術件数

    広告可能事項ではありません。
    ホームページでは限定解除の要件を満たせば書けますが、求められれば根拠を示し実証できる必要があります。

  • 条件つきで書ける

    平均在院日数、病床利用率、患者数

    対象の期間を月の単位で併記し、サイトや年報で公表していることが条件です。
    病院全体のほか、病棟や診療科ごとの平均在院日数も書けます。

  • 条件つきで書ける

    紹介率、逆紹介率

    算定式と、算定に使った患者数を公表していることが条件です。

  • 書ける

    施設基準の届出(適合している旨、基準の内容、届出日)

    診療報酬の施設基準の届出は、各基準に適合している旨、基準の内容、届出日まで書けます。
    「厚生労働省に認定されました」「国の認証を取得」と書くと、行政のお墨付きと誤認させる誇大広告です。

  • 書ける

    地域医療支援病院、臨床研修指定病院、災害拠点病院、がん診療連携拠点病院などの指定

    法令の規定や国の事業に基づく指定は書けます。
    制度の概要と認定を受けた年月日も書けます。

  • 書けない

    患者満足度〇%

    満足度調査の結果そのものは広告できません。
    調査を実施している旨と、結果の入手方法は書けます。
    根拠と調査方法の提示がない「〇% の満足度」は虚偽広告の例です。

  • 書ける

    病院機能評価の認定、ISO、外部監査

    日本医療機能評価機構の評価の結果、ISO の審査登録、JCI の認定は書けます。
    外部監査は受けた年月を併記します。

患者の声と写真

体験談、口コミの転載、治療の前後の写真、著名人

  • 書けない

    患者様の声、体験談、口コミの転載、直筆アンケートの写真

    治療の内容や効果に関する患者の体験談は省令で禁じられ、限定解除でも書けません。
    口コミサイトからの転載や、直筆のアンケートを写真にしたものも同じです。
    有利な感想だけを選んで載せるのは虚偽か誇大にあたります。

  • 書けない

    スタッフの体験談、ブログでの患者の感想の代筆

    職員自身の体験談や、職員が患者の感想を代わりに書いたものも体験談にあたります。

  • 条件つきで書ける

    治療の前後の写真

    写真だけでは書けません。
    通常必要な治療の内容、費用、期間と回数、主なリスクと副作用の説明を、写真と同じ場所に付ければ書けます。
    説明をリンク先に置いたり、極端に小さな文字にしたりする形は認められません。
    手術前だけ、手術後だけの写真も同じです。

  • 書けない

    著名人が受診、著名人の推薦

    著名人との関係を強調する表現は比較優良広告です。

自由診療と費用

人間ドック、費用の書き方、キャンペーン、医薬品の名前

  • 書ける

    人間ドック、脳ドック、健康診査の実施

    健康診査の実施は書けます。
    脳ドックも健康診査として書けます。
    「遺伝子検査」「アンチエイジングドック」は書けません。
    自由診療の内容と費用を書くときは、限定解除の要件を満たします。

  • 条件つきで書ける

    自由診療の費用

    通常必要な治療の内容、標準的な費用、治療の期間と回数を同じページに書きます。
    標準的な費用が明確でないときは最低額から最高額の範囲を示します。
    「患者様の状態により異なります」だけでは足りません。

  • 書けない

    キャンペーン、今なら〇円、〇% OFF、モニター価格

    費用を強調した広告は品位を損ねるものとして厳に慎むべきとされています。
    条件つきの価格を一般の価格のように表示するのは虚偽広告のおそれがあります。

  • 条件つきで書ける

    無料相談

    無料で健康相談を実施している旨は書けます。
    費用を強調した書き方や、相談した人へのプレゼントの併記は品位を損ねる広告です。

  • 書けない

    医薬品の販売名(〇〇錠)

    一般の人向けの広告に医薬品の販売名は書けません。
    一般的名称は書けます。
    ホームページでは限定解除の要件を満たせば書けます。

  • 書ける

    医療機器のメーカー名

    据え置き型の医療機器の配置とメーカー名は書けます。
    販売名と型式番号は書けません。
    保有していない機器のイメージ画像は虚偽広告です。

媒体と対象外

オンライン診療、認定の印、職員募集、講演会

  • 書ける

    オンライン診療を実施

    オンライン診療を実施している旨は書けます。
    オンライン診療受診施設を利用する場合は、その旨と内容も書けます。

  • 書けない

    ガイドライン遵守、適合認定、厚生労働省のマーク

    ガイドラインを守っていることは特段強調すべきことではなく、過度な記載は誇大広告にあたる可能性があります。
    厚生労働省のシンボルマークは資料の転載など以外には使えません。

  • 書ける

    院長あいさつ、開院〇周年、内覧会

    通常は医療の内容とは考えられないあいさつ文やキャッチコピー、開院の周年、内覧会の案内は書けます。

  • 対象外

    講演会や地域住民向けの案内

    患者の受診を誘引することを意図していない講演会の広告は、規制の対象になりません。

  • 対象外

    職員募集

    職員募集の広告は受診を誘引するものではないので、規制の対象になりません。
    ただし、募集の中に診療の宣伝を混ぜると対象になります。

出典の「ガイドライン p.」は原文の印字ページ、「Q&A」は質問の番号、「事例」は事例解説書の事例の番号です。
法令の適用は個別の事情で異なります。判断に迷うときは、所管の自治体の相談窓口へご相談ください。
ここに無い表現は、厚生労働省の相談窓口一覧(PDF)にある所管の窓口へご相談ください。