病院のマーケティング基礎講座
患者は、病院をどう選んでいるのか
患者は病院をどう選んでいるのか。厚生労働省の受療行動調査では、選んだ理由の 1 位は医師による紹介、情報源の 1 位は家族、友人、知人の口コミです。
病院に患者が来る道は紹介、救急、直接の来院の 3 つで、入口ごとに決め手と国の制度が違います。
患者の選び方、地域の需要、3 つの入口、病診連携、公的な窓口と発信、満足度と体験、指標と年の計画の順に 7 章で解説します。
解説の元は、厚生労働省の受療行動調査(平成 20 年、令和 2 年、令和 5 年)と患者調査(令和 5 年)、新たな地域医療構想等に関する検討会の資料、外来機能報告等に関するガイドライン、かかりつけ医機能報告マニュアル、医療法と療養担当規則の条文です(2026 年 10 月 16 日に確認)。
受療行動調査と患者調査(3 年ごと。次は令和 8 年調査)、ガイドラインとマニュアルの改正、診療報酬改定に合わせて更新します。
第 5 章と第 7 章のホームページの閲覧の数字は、病院ドックの独自調査の実データ(2026 年 7〜10 月)で、年 1 回集計し直します。
講座は「国の統計と制度にこう書いてある」までを伝えるもので、個別の病院の集患の方針を助言するものではありません。
この講座の要点
受療行動調査(令和 2 年、令和 5 年)と外来機能報告等に関するガイドラインの考え方を元に、病院ドック編集部が整理(第 1 章、第 3 章)
- 厚生労働省の受療行動調査では、病院を選んだ理由の 1 位は外来も入院も「医師による紹介」、ふだんの情報源の 1 位は「家族、友人、知人の口コミ」です。病院のホームページは情報源の 3 割で、入口の 1 つであって中心ではありません。
- 病院に患者が来る道は紹介、救急、直接の来院の 3 つで、入口ごとに決め手と国の制度(外来機能報告、かかりつけ医機能報告、医療情報ネット)が違います。全国の外来患者数は 2025 年にピークを迎え、集患は「増やす」ではなく地域で自院が担う役割に患者が辿りつくことです。
- 病院ドックは厚生局の届出データから、紹介と連携にかかわる施設基準の全国の届出率を集計しています。自院の届出は施設基準ページで、地域の需要は診断結果ページで確かめられます。届出の有無は体制の一面で、優劣ではありません。
数字で見る
一般病院の外来と入院の患者が、この病院を選んだ理由(複数回答。理由がある者の中で)。次いで交通の便、専門性の高さで、「建物がきれい・設備が整っている」は 1 割に届きません。令和 2 年調査の値で、令和 5 年の概況にはこの項目がありません。
出典: 厚生労働省「令和 2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」(2021 年 9 月。2026 年 10 月 16 日取得)
届出の有無は体制の一面です。病院の規模や役割によって、届け出る必要のない基準や、要件を満たせない基準があります。入退院支援加算の届出が無い病院にも、紹介元への返書と退院後の連携はあります。自院の届出は施設基準のページで確かめられます。
出典: 地方厚生局の届出受理医療機関名簿(公表基準日 2026年9月1日 以降)から病院ドックが集計。有効な届出だけを数え、分母は診断対象(20 床以上)の全病院。地域包括ケア病棟入院料は入院医療管理料を含む 1〜4 の合計、在宅療養支援病院は 3 つの区分の合計。紹介受診重点医療機関入院診療加算は名簿に独立した届出が無いため数えていない。
左は厚生労働省の受療行動調査(患者が答えた選んだ理由)、右は病院ドックが厚生局の名簿から集計した全国の届出率です。選んだ理由も届出の有無も病院の優劣ではありません。病院ごとの届出は施設基準のページで確かめられます。
章の一覧
- 第1章 患者は病院をどう選んでいるか 受療行動調査が示す、病院を選んだ理由の 1 位は医師による紹介、情報源の 1 位は口コミ。病院が大きいほど紹介が多く、患者が最も知りたいのは医師の専門性と経歴。
- 第2章 地域の需要を知る(だれに) 外来患者数は全国で 2025 年にピーク、224 の医療圏ではすでに減少。入院は平成 20 年から減少、在宅は 2040 年以降にピーク。自院の二次医療圏の人口と役割を確かめる。
- 第3章 病院の入口は 3 つ(なにを) 紹介、救急、直接の来院。入口ごとに決め手が違う。外来機能報告と紹介受診重点医療機関の基準、200 床以上の定額負担、かかりつけ医機能報告の 1 号と 2 号。
- 第4章 紹介を増やす: 病診連携の基礎 地域医療連携室の仕事、紹介元が見ているもの(専門性、返書の早さ、戻してくれるか)、逆紹介が信頼の土台になること、紹介に対価を払うことの禁止。
- 第5章 直接の来院と公的な窓口(どう知らせる) 医療情報ネットとかかりつけ医機能の院内掲示、患者が知りたい情報をホームページに置く、医師の専門性と経歴、写真、地図サービスの基本情報、口コミの線引き、上手な医療のかかり方。
- 第6章 選ばれ続ける: 満足度と体験 全体の満足は外来 64%、入院 68%。不満の 1 位は外来の待ち時間 25.5%。予約は 79%。口コミの元は体験であること、入退院支援、自院の満足度調査の注意。
- 第7章 数字で測り、年の計画にする(どう測る) 入口ごとの指標(新患数、紹介率と逆紹介率、救急の受け入れ、患者の住所別の分布、ホームページの閲覧)、年 1 回の見直しの型、制作会社と広告代理店の提案の聞き方。
道具
厚生労働省の受療行動調査と患者調査、新たな地域医療構想等に関する検討会の資料、外来機能報告等に関するガイドライン、かかりつけ医機能報告マニュアル、医療法と療養担当規則の条文と、病院ドックの独自調査(病院のホームページの閲覧の実データ)をもとに、病院ドック編集部がまとめました。
国が監修したものではありません。
講座は国の統計と制度の原文にもとづく解説で、個別の病院の集患の方針を助言するものではありません。表現の可否は医療広告等ガイドラインと所管の都道府県にご確認ください。
内容の誤りは訂正受付窓口からお知らせください。